Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

人攫いが仕事の集団が主人公だけど、活劇にはしない辺りがミソ。 オノ・ナツメ/さらい屋五葉

タイトルにさらい屋とあるように人攫い、拐かしを生業とする5人組の物語。
主人公は冴えないお侍さんでひょんなことから巻き込まれていくのだけど、
いわゆるピカレスクものに見えてちょっと違う。

単純なピカレスクものであれば、人をさらうなり、なんなり、
悪いことしてる活劇っぽい部分が見せ場になるはずなんだけど、
この作品ではそう言った活劇っぽいところはほとんど描かれない。

この作品が描くのは五葉のメンバーそれぞれの過去であり、
こじらせた人間同士の人間関係だったり、
そこに主人公が絡んでくることでの変化であったり。

で、その中でも一番こじらせてるのが頭領の弥一であり、
次第に主人公の冴えないお侍さんと弥一の物語になってくる。
そんな感じのお話だからやっぱり随所に腐女子を萌えさせるBL的な要素もちらほら。

絵の雰囲気も時代劇とあってる気がするし、雰囲気だけの作品ってわけでもなくまとまってるし、
地味だけど良い作品だったな。

でも、このメンバーがバリバリ活躍しまくるわかりやすーい活劇も見てみたい気がする。
難しいこと抜きにした単純な話をこの洒落た絵で書いても人気出る気がするんだけどな。

当初注目していた漫画読みは多いと思うのだけど、なんか違うんだよなー。 ふみふみこ/ぼくらのへんたい

コミックスが刊行された当初はなんだか凄そうなのが来たぞ!という感じで大注目だった作品。

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

なんてたってなんだかそれぞれの事情で女装している男子3人が主人公っていうとんがった設定。
男同士の同性愛もの?女装しているからある意味百合?トランスジェンダー的な話?男の娘?

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3者3様のエピソードに一体どうなるのか楽しみだったのだけど、
完結して一気読みしてみた感想はなんか思ってたんとちがーうって感じ。


そもそも4巻から表紙の雰囲気もガラッと変わるしなんだかなぁ、という感じ。
結局この3人の間で妙な恋愛話が巻き起こってきて、
それはそれで倒錯してるんだろうけど、あんまり面白くない。

なんか途中で歯ごたえなくなっちゃったなぁ、という印象。。

というわけで、こんな愚にもつかない言いっ放しな感想で終わりなのだが、
それでもこうしてなんか書いとかないと忘れちゃうのよね。

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

親子丼だよ、人生は。 西炯子/なかじまなかじま

主人公は地味な女子大生。
素材はいいけど地味、みたいなやつ。

で、陸上が好きで高校のスター選手のなかじま君のファン。

で、映画のエキストラをやってたら有名な映画監督であるなかじま監督に見初められる。

だから『なかじまなかじま』

で、期せずして突然、年下からも年上からもモテモテ。
それまで地味な人生だったのが一転モテモテになる。
そんなん現実ではまずないわけだが、
これはある種の妄想であり欲望なのだから読者もそれを楽しめばよろしい。

西炯子の漫画の中において、女は求められる方。
奔放な男キャラに振り回されて大変、みたいな話も、
結局そういう男に惚れられていて、結果振り回されているのだから、
結局は求められる女の構図。

まぁ、これって女性にとってのある種の夢なんだろう。
いつか王子様が、的な。

だから読んでいて西炯子はとても素直な人だと感じる。
欲望に素直で身も蓋もないことを平然と言ってのけるタイプ。

4コマ漫画の方がこの人の本性が色濃く出ている気がしていて、
一緒に読んだ『ひとりで生きるモン!』なんかは西炯子の偏屈な素直さが漂っている。

ひとりで生きるモン! (Charaコミックス)

ひとりで生きるモン! (Charaコミックス)

というわけで、旧作も読みたくなってきたなぁ。

普通におもしろい出産特化型医療漫画。 鈴の木ユウ/コウノドリ

出産って大変なことなんだよね、母子ともに健康って
それだけで有り難いことなんだよね、っていうお話が
手を替え品を替え描かれる出産に特化した医療漫画。

[asin:B01HFV3GF2:detail]

これから母になる人、父になる人、とかは読んでみると
色々と知識もついて良いんだろうけど、
嫁さんが夢中になってて、あんたも読みなさい的なノリで来られるとめんどくさい。

正直それでとっつきにくくなってしまったけれど、作品は何も悪くないわけで。
医療漫画として普通に面白いし、過剰なお涙頂戴にもなってないし、知識も得られる。

出産て変な迷信じみた情報とかも未だにたくさんあるから、
科学的な知識に触れる機会はどんな形であれあった方がいいんだろうなぁ。
でも、知れば知るほど過剰な心配にも繋がりそうだから、
結果的に知らぬが仏ってこともありそう。
心配って心理的な負担は大きいくせに大して役に立たない無駄の塊だから。


[asin:B01HFV3GF2:detail]

駄菓子の漫画ってなんだろうと思って読んだのだが、こういうことね。 コトヤマ/だがしかし

2016年1月にアニメ化されて話題になった漫画。

漫画家を目指している駄菓子屋の少年と、
菓子業界の大企業の娘が織りなす駄菓子漫画。

基本一話完結で毎回駄菓子が1つ取り上げられている。
たまにそれって駄菓子か?と言いたくなるようなセレクトもちらほら。
ミルメークとか駄菓子じゃないだろ、的な。

読んでるうちはへーって思うコトもあるんだけど、
2週間もすれば忘れてる。
短編の連続の中で大きな物語が進行していくわけでもないし、
他の漫画の合間に読んでちょうど良いというか、箸休め的な掌編といった作品。
だからコミックスで一気に読もうとすると飽きるかもしれない。

味は濃くて最初は美味しいけど量はいらないって感じ。
そこらへんも駄菓子的か?

ちょっと意地悪な仕掛けが施された推理小説。素直に騙された! 筒井康隆/ロートレック荘事件

あゆみBOOKSが好きだったんだけど、
社員が選ぶ売りたい文庫で堂々の1位に輝いたのがこの作品。

もちろんかなり昔の作品なのだけど、筒井康隆は今なお通用する面白さということ。

普段、推理小説は全然読んでいないから、素直に読んで素直に騙されてしまった。

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

この作品自体に作家が仕掛けたトリックがあるんだよね。
読んでる最中にどこかで違和感は感じるんだけど・・・。

あと、作家によって仕掛けられた罠によって、
この障害者がなんでこんなにモテるんだろう、って不思議に思うよね。
その発想自体に少なからず差別意識が含まれているんだけど、
無意識の差別意識を浮き彫りにするというか、
人が被ってる偽善の仮面を剥ぎ取るような試みが
これまた筒井康隆っぽいのよね。

SFや推理小説は疎いんだけど、読めば読んだで面白い。

でもなんか今さらがっつり読む気にもならず・・・
いや、いつかはという気持ちが無いわけではないんだけど、
やっぱりどっぷりハマるなら中高生のうちにもっと読み漁るべきだったなぁ、なんて思ったり。

子供がそれくらいの歳になったら一緒に読み漁る、とかもいいかもなー。

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

ロートレック荘事件 (新潮文庫)

いまさらですけど、オスカルが女ってのは秘密でもなんでもないんだね。。 池田理代子/ベルサイユのばら

ベルばら。少女漫画の古典的名作。
この作品との出会いは幼い日のアニメだった。

いくつだったか覚えてないくらい昔で、小学校低学年くらいだったかとは思うのだけど、
オスカルが実は女っていう設定にすごくビックリしたのと、
オープニングでオスカルがなんとなく裸っぽいシーンがあって、
子供心になんかエロいという背徳感みたいな気持ちを抱えながら見てたっていう記憶が
僕のベルばらの思い出。

で、その後原作も読んでるんだけど、
例によってすっかり忘れてしまったので、
久しぶりに一気読みしてみた。

そしたら思ってたよりも恋愛マンガだったってのと、
オスカルが女っていうのは秘密かと思い込んでいたんだけど、
全然秘密じゃないのね。

リボンの騎士みたいな秘密のイメージがあったんだけど、全くもって勘違いでした。。

作中ではオスカルが女なのは秘密でもなんでもなくて、みんな知ってる。
アンドレは長いことオスカルに惚れてたみたいだけど、
オスカルがアンドレ好きになるのはなんか突然なんだよね。

ちなみに、屋敷に火が放たれて、火薬に引火して爆発するシーンがあるんだけど、
このカットが妙に気になってしまいましたよ。
全くどうでもいいカットなんだけど。。。

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火薬が積まれていることがこれ以上わかりやすいカットもなかろう。。。