Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

ツンとデレの振れ幅がこれだけ大きいヒロインってのも珍しいんじゃないかしら。 小池一夫・井上紀良/Duet デュエット

小池一夫原作、井上紀良作画の古き良き昭和の漫画。
読み出すきっかけを掴むまで積ん読になりがちだけど、
読み始めるとすこぶる面白い。

デュエット1

デュエット1

やっぱりこの時代の漫画って今よりももっと自由で荒唐無稽だよね。
こういったポジティブな荒唐無稽さが最近のマンガって本当にないよなぁ。

緻密でしっかりした構成の漫画ももちろん面白いけど、
でも読んでてちょっと疲れるって部分もなきにしもあらず。
その点、デュエットはあんまり頭使わないで読めて楽しい。

わかりやすいセックス&バイオレンスなんだけど、
やっぱ本作最大の見所は途中から物語が全然違う話になっていくところ。

当初は日本の大財閥の金や権力を奪い取ろうとする輩から、跡を継ぐ娘を守る話。
そのために孤児だった主人公は中東の暗殺教団サッグで育てられたって言う設定。
(しかも後ほどサッグのトップ=教主だったことが判明!)

血は繋がっていないけど、弟として姉を守る!
姉には欲情しないよう催眠かけてある、とか言う設定なんだけど、
色々あっていきなりその催眠も解く流れになっちゃうんだな、これが。

で、その姉ってのがもんの凄いツンデレなんだけど、
欲情する弟に体は許しても心は許さない!!とか言い出しちゃう。

でも、この超ツンツンキャラクターもまったく別人なんじゃないかってくらい途中で変化する。
その落差たるや・・・。

と言う訳で、ひとまず財閥っぽい話が終わって、次の展開に入るまでは読んで欲しい。

何事もなかったかのように話が進んでいって、この頃の作品お決まりの唐突なラスト。
でもきっと読後感は爽快なはず。

デュエット1

デュエット1

もうダブルオーからも10年経っているのか!そして全7巻で描こうとするのはあまりにも無謀!! 大森倖三/機動戦士ガンダム00

アニメの機動戦士ガンダム00をコミカライズした作品なのだけど、
アニメの初回放送が2007年だというから、もうダブルオーからも10年経っているのかってのが驚き!!

ガンダムはかなり当たり外れが大きいのだけど、
ダブルオーはかなりよくできた作品で個人的にはかなり好きで観てた。

世界から戦争をなくすために、戦争に対して武力介入する私設武装集団ソレスタルビーイング
その秘密組織に所属する4人のガンダムマイスターパイロット)たち。
民族紛争がなくならない現代社会の世相を反映させつつ、
勧善懲悪ではない、正義とは何??って言う世界を描いた作品。
その勧善懲悪ではないところ、何が正義かなんて簡単な話じゃないってところを
鮮明に描き出しているところが、非常にガンダムっぽくて好き。
そう言う硬派なところに正面から向き合ってるからね。

この硬派さは最近の鉄血のオルフェンズまでなかなか出てこなかった。

だからそのコミカライズと聞いて期待が高まっていたのだけど、
そもそも巻数を見てちょいと疑問に。。。


だってこれ、ファーストシーズン3巻、セカウンドシーズン4巻、計7巻分しかない。
オリジナルのアニメを補完するどころか、まぁかい摘んでかなり慌ただしく駆け抜ける感じ。

かなり重要な脇役である左慈・クロスロードとか前半まったく触れられず、だしね。

なんかこう、もう少しゆっくり描かせてあげてほしかったな。。
20巻あってもダレることはないくらいの物語だったと思うので。

と言う訳で、まだダブルオーを見ていない人は、
素直にDVDとかで見たほうがいいかもしれない。

機動戦士ガンダム00 1 [Blu-ray]

機動戦士ガンダム00 1 [Blu-ray]

タイミングによってはAmazon Prime Videoでも見られるみたい。
便利な世の中よねー。

LOST CANVASをガン無視して突き進むこの作品、もうこの後どうなっちゃうのか、すごく楽しみなのよね。車田正美/聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話

車田正美自身の手による正統後継作品。

ハーデスとの戦いで傷つき、命を落とそうとしている星矢を救うため、
アテナと星矢の仲間たちが過去の聖戦の時代にタイムスリップして戦う物語。



したがって舞台はLOST CANVASと同じハーデスとの前聖戦ということになるのだけど、
NEXT DIMENSIONとタイトルにある通り、全く異次元のお話になっている。

ペガサスが天馬、ハーデスがアローンという設定までは一緒なのだが、
アテナ(沙織さん)はタイムスリップする際に赤子に戻されてしまうし、
過去の黄金聖闘士の設定、というかキャラクター自体もほぼLOST CANVASを無視。

それでいて蟹座の黄金聖闘士は本作でもアジャパーが健在となっており、
往年のファンへのサービスもちょいちょい出てくる。

そして、ついに車田先生自ら、黄道十三番目の星座、
蛇遣い座の存在に向き合うという展開を見せてきており、
なんというか、思ったよりも胸アツな展開なのである。。

しかしまぁ、なんでこうも異なる冥王神話が生まれてしまったのだろう。。。
自分でも好き勝手に描きたくなっちゃったのかな。。

でも、車田先生が描きたくなったのであれば、
何はともあれ、それ自体が素晴らしいことではある。

というわけで、今後どうなっちゃうのか、展開に要注目な作品。


手塚治虫自身が出来は誉められたものではない、 何回目かのマンネリって言ってるつまらない作品 手塚治虫/スーパー太平記 

全集を最初から読み進めるプロジェクトが遅々として進まない。

年間1000冊以上読んでることを考えたらそれだけ読んでりゃ3、4ヶ月で手塚治虫全集も
読み終わるはずなんだけど、なかなか進まない。

なぜかと言うと、まぁ前半の作品が割とつまらないから。。

で、スーパー太平記もまぁつまらない。

スーパー太平記 (手塚治虫漫画全集)

スーパー太平記 (手塚治虫漫画全集)

スーパー太平記

スーパー太平記

太平記と名がついているけれど足利的なものとは無関係。
幕末に22世紀から赤ちゃんがやって来たって話。

だからと言って赤ちゃんだからね。
未来の知識があるわけでもない。
ただちょっと利発な子なんだけど、
未来だから利発ってのは説得力あんのかな。

まぁ遺伝子いじってるかもしれないと考えれば未来から来た赤ちゃんだから利発ってのは成立するのか。

まぁいずれにせよよくわからない設定なんだよなぁ。
この作品の元になったのは「ピストルをあたまにのせた人びと」という作品らしいんだけど、
そっちは単に幕末に利発な少年がいたっていう設定なんだって。
(タイトルわけわからんよね。。。)

で、この作品書くときになんでか未来から来た設定付け足したらしいのよね。
ほんと、初期の手塚治虫は欲張りというか、なんでもかんでも盛り込みまくるごった煮みたいな作品が多い。

まぁあんまり面白くない話をするのも建設的ではないのだけど、手塚治虫自身が出来は誉められたものではない、
何回目かのマンネリって言ってるくらいだからしょうがないよね。

こういう駄作も含め、圧倒的な作品数、驚異的なアイデア力であることは間違いない。

スーパー太平記 (手塚治虫漫画全集)

スーパー太平記 (手塚治虫漫画全集)

スーパー太平記

スーパー太平記

この後、車田正美先生本人が、本作の設定を無視しながら冥王神話を描き始めるという超展開を誰が予測できたであろうか! 車田正美・手代木史織/聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話

子供の頃、聖闘士星矢が大好きでした。
アニメを夢中で見てて、ポセイドンの続きがあるらしいのに、
テレビではやらないってのが信じられないって思ってた。

そんな思い出深い聖闘士星矢から生まれた作品がこれ。

原作に設定上存在した、243年前の前聖戦が舞台になってる。
だから出てくる黄金聖闘士も昔の黄金聖闘士なんだな。

そして前聖戦においてもアテナ、ペガサス、ハーデスは数奇な運命を辿る。

まぁ正直メフィストフェレスとかのくだりは蛇足な気がするのだけど、
絵が車田正美聖闘士星矢ではない、というところを乗り越えられれば、
それなりに楽しめる。

そして、この星矢はペガサスと黄金聖闘士の物語。
だから黄金聖闘士を中心にした外伝も描かれたのだな、と妙に納得。

手代木さんの絵は線が細いというか繊細なタッチで、
車田正美とは似ても似つかないってのが最後まで個人的には引っかかっていたけれど、
それでも星矢ファンであれば読んでおいたほうがいい。

なぜなら、この後、車田正美先生本人が、冥王神話を描き始めるという超展開が待っているからである!
そしてそれを最大限楽しむためにはこれも読んどいた方がいいわけよ。


だって、車田先生、同じ主人公天馬とかアローンを使って、冥王との戦いを描くのに、
びっくりするくらいTHE LOST CANVASの設定無視するわけよ。

黄金聖闘士の名前も違うし。。。

こりゃあ、確かにNEXT DIMENSIONだわ、、、って感じなんだけど、
その異次元っぷりを理解するにはLOST CANVAS読んでないと始まらないんだな。

というわけで、今更私が知った読む順番としては、

聖闘士星矢

②THE LOST CANVAS 冥王神話

③THE LOST CANVAS 冥王神話外伝

④NEXT DIMENSION 冥王神話

この順で行くのが良いのではないかと思われます。
せっかちな方は③の外伝飛ばして④に行くショートカットもありだけど、
②無くして④の深みは味わえないのでそのつもりで。

手塚治虫が戦国時代にイギリスの築城法を取り入れた城を描くとこうなる。 手塚治虫/夜明け城

手塚治虫の歴史物。

太閤に命じられて領内に城を築城することになり、
全力で築城に励むことになるのだけど、
工事現場では謎の事故が相次いで・・・

といった話。

夜明け城 (手塚治虫漫画全集)

夜明け城 (手塚治虫漫画全集)

夜明け城

夜明け城

まぁ、やっぱり今読んで面白いかと言われると大して面白くないよね。
あえていうなら、築城しようとしている城のデザインがヘンテコなことかな。。

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こんな変な城に生涯をかけたくない気もするけれど、
太閤の死によって命懸けて作っていた城をとり壊せと言われてしまう。

自分が命懸けで作っていた者がまるで上の気まぐれで壊せと言われる。
まぁそういうことって仕事でもあるよねー、なんて思うようになったのは
自分も年取ったってことなんだろうな。

夜明け城 (手塚治虫漫画全集)

夜明け城 (手塚治虫漫画全集)

夜明け城

夜明け城

大切にするということはその人のために行動し、実現すること 桜井画門/亜人

人のようでいて、人ではない、不死身の存在、それが亜人
亜人かどうかは、本人自身でさえ、死んでみるまでわからない。

人間のつもりで生活していた者が、死んだはずなのに蘇って、初めて亜人だったことが発覚する。

あまりにも人間離れした能力を持つ亜人たちは
発覚したと同時に国の捕獲対象になるので、
捕まっていない亜人たちもひっそりと生きているような世界観。

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)


そう、なんとなく『東京喰種』と似た世界観なんだよね。
現代を舞台に、人間に紛れて暮らす亜種。
警察あるいは国と、亜種の戦い。

どちらの物語も人間ではないものに対して人間が向ける冷酷なまでの悪意に
人の醜さが凝縮されている。

そんな中でも『亜人』は主人公のやや浮世離れしたキャラクターがユニーク。
悪意のない合理性の塊みたいな主人公は行動にあまり迷いがなく、
時に冷酷な判断を下しながら生き延びていく。

作中でも言及されているが、他人からすると冷たく見えるその対応も、
彼にとっては合理的な判断をしているだけで、冷たくしようという意識はない。
これもある種のサイコパス気質なんだろうなぁ。

ちなみに経営者にもサイコパス気質の人は多いらしく、
課題に対して感情を交えず合理性だけで判断できるというのは1つの強みではある。

ただ、一般的に感情に支配される人が多すぎる気もするよね。

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まぁ、そんな思いやるだけの薄っぺらい生温かさに対して、
ズバッと切り込んでいるのがこのシーン。

とにかく行動ありき、なんだよね。
ごちゃごちゃいう前にやれ、と。
行動して実現しろ、話はそれからだと思うわけ。

行動しないでごちゃごちゃ言うだけの人が多すぎる世の中なので、
この1シーンのためだけでも、
この作品がもっと読まれたら良いな、と思ったのでした。

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)

亜人(1) (アフタヌーンコミックス)