Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

いろんな意味ですごいよ、漫画より、小説で読みたいと思ったよ。 弐瓶勉/BLAME

シドニアの騎士弐瓶勉の初期作品。
SFの傑作とする人もいて、一部熱狂的なファンがいる作品でもある。

「極限まで発達したインターネット世界。探索者・霧亥(キリイ)は「統治局への再アクセス」を可能にするために
何千フロアも超構造体を放浪し、「感染前」の「ネット端末遺伝子」を求める。」

というのが公式の作品紹介なのだが、ちょっと待て、意味わかんねぇぞ。

まぁ、読んでいけばなんとなくわかるよ。
でもね、いわゆる典型的な読者置いてけぼり作品。

作品の世界観は作り込まれているのはわかる。
その作り込まれた世界に対していちいち説明してあげようという気持ちは無く、
考えるな、感じろ、とばかりに物語は進行していく。

正直、面白いかと言われれば面白くないんだけど、
なんかもう漫画という表現があってないんじゃないかと思ってしまった。
読みながらすごく感じたのは、僕はこの世界を小説で読みたいということ。
この完璧に作り込まれた世界を小説で堪能したいよ、と思ったのよね。

というわけで、弐瓶勉は小説書かないかな。

絶対面白い作品になると思うのだけど。

弐瓶勉自身が書かないにしても、コアなファンにノベライズしてほしい。

アニメはどんな感じなんだろう。
ちょっと気になるんだよなぁ。。。

BLAME! スペシャルフィギュア 主任科学者シボ

BLAME! スペシャルフィギュア 主任科学者シボ

ネットフリックスオリジナル作品として公開されたこの作品、
amazon prime videoでは当然見られない。

とりあえず、漫画よりは随分とっつきやすくなっているらしいのだが。。。

天才ハッカーがテロと対決しながら女にたらし込まれる話。龍門諒、恵広史/BLOODY MONDAY Season2 絶望ノ匣

テロと戦う天才ハッカーが主人公のシリーズで、
もう何年も前に読んだ1作目が結構面白かった印象だけが残っていた。

で、その続編。
最終的にはこのあとラストシーズンってのが出てて、それで完結。
でもラストシーズンが4冊しか出ていないのがちと不安。
だって、人気あったらもうちょい出るでしょ、普通。。。。


というなんか嫌な予感がしながら読んでみたのだけど、
物語はそれなりに面白い。
まぁかなりご都合主義だし、主人公のもとに送り込まれていた工作員の女が豹変して
いきなり主人公とラブラブな展開になるのはちょっと衝撃の展開。。。

あぁ、なんか終わってしまったな、というか
残念な香りがしたけれど、まぁそれはそれで笑えるから十分満足してる。
いや、そここそがこの作品の読みどころなんじゃないか。

前作の話を完全に忘れてるので、もっと面白かったはずなんだけどなぁ、という思いも含め
もう一度前作読みたいなぁ、というのが読了後の感想。

とりあえず、この2作目ですべての黒幕が誰なのかが明らかになる!
なので、勢いでラストシーズン4冊も読むことになるのだが・・・。

こちらもご都合主義のオンパレード。
なんかもう主人公がただのスーパーマンで、
敵が肝心な時に間抜けで、
なんか全部うまいこといく、みたいなやつ。

今読むと1作目もそう感じるのかな・・・
でも、あまり難しく考えずに楽しむには十分面白かったよ、うん。

漫画やアニメの世界名作路線、元祖はこの人、この作品。 手塚治虫/ファウスト

漫画やアニメの世界名作路線、その一番初めが手塚治虫の「ファウスト」だと思う、と著者は語ってる。

そう、これは世界文学史上も名高い「ファウスト」の翻案。

自身は、なぜ「ファウスト」を漫画化しようと思ったかは定かではない、とのこと。
ただ、ディズニー的なアニメにして見たいという欲望があって、
アニメを思い浮かべながらこの漫画を描いたらしい。

それとソ連のアニメ「せむしの仔馬」という作品を見て、
思いっきり影響を受けていた頃なので、美術などもろに影響されてるらしい。
そのアニメ自体は検索して見たけどDVDとかにはなってないみたい。
一体どんなアニメだったんだろう、気になる。

それと、ファウストね。

ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ファウスト〈第2部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

読んだのずいぶん昔だけど、こういうのをきっかけに再読熱が高まったりするのよね。
で、再読するなら新訳版読んでみようかな、という気分に。

時間がいくらあっても足りないなぁ。。。

久しぶりにBTOOOM!読んだら竜太がヒミコのパンツ被りながら一生童貞宣言してたぞ 井上淳也/BTOOOM!

主人公の竜太はオンラインゲームBTOOOM!の世界ランカー。
効果の異なる複数の爆弾を使って相手を爆殺するゲームなんだけど、
社会から必要とされてない人たちを集めて
このゲームを現実に再現するプロジェクトに巻き込まれてしまう。。。

無人島で始まるリアル爆弾ゲーム。
参加する人物は皆一癖も二癖もある奴らばかり。
敵を殺して相手のチップを集めないと帰れない。

さてさて、竜太は無事脱出できるのか・・・ってな話。

BTOOOM! 1巻 (バンチコミックス)

BTOOOM! 1巻 (バンチコミックス)


以前アニメ化もされていて、自分もそれきっかけで知ったんだけど、
駆け引き、裏切り、緊張と弛緩、ちょいエロがうまい具合で混ざり合ってる良作。

世紀の傑作だー、とかそういう訳じゃないけど、とてもよくできた面白い漫画って感じ。
ちゃんと楽しい娯楽エンタテイメント作品。

で、アニメは1部までなんだけど、原作は今尚進行中なのよね。
それで久しぶりに2部を読んでみたのだけど、いやー同じようなことを繰り返しつつも、
ちょいエロシーンが一皮剥けたバカバカしさになってて笑った。

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いやー、何度見ても味わい深いなぁ、このシーン。

BTOOOM!ってどんな漫画って聞かれたら、
これからは主人公がヒロインのパンツ被って
一生童貞宣言する漫画だよって答えるようにしよう。

BTOOOM! 1巻 (バンチコミックス)

BTOOOM! 1巻 (バンチコミックス)

映画が大好きなことはよくわかったよ。。 手塚治虫/ふしぎ旅行記

死んだ人の魂が、他の人に乗り移って、世界を旅する。
そんなお話なのだけど・・・。

ふしぎ旅行記 (手塚治虫漫画全集)

ふしぎ旅行記 (手塚治虫漫画全集)

手塚治虫は映画好きで、この作品は、『幽霊、紐育を歩く』という作品から
着想を得た、というかパクりまくったものらしい。

『幽霊、紐育を歩く』は『天国から来たチャンピオン』の元ネタらしい。

天国から来たチャンピオン [DVD]

天国から来たチャンピオン [DVD]

いずれにせよ、夢と現実が入り混じるというか、
やや荒唐無稽なファンタジーさは手塚治虫にも大きな影響を与えていて、
自身の解説でも、自分の個性として根強く残ったと回想している。

この全集では、そう言ったファンタジー路線の作品を
タイガーブックス』というシリーズにまとめてある、とのこと。

海外旅行なんてほとんどの人がいけなかった時代、
旅行記のように海外を描くというのはそれだけで新鮮なところがあったんだろうね。

本人曰く、映画どこもかしこも自分の映画へののめり込みの見本みたいなもん、だそう。
確かに映画は物語をカット割で見せていくところとか、
漫画の参考になりまくるのは今もそうで、
知り合いの漫画編集も、作家も、みんな映画は見まくってる。

とりあえず、元ネタの映画見たいな。


ふしぎ旅行記 (手塚治虫漫画全集)

ふしぎ旅行記 (手塚治虫漫画全集)

毒にも薬にもならないゆるいテンションで書かれた(とされる)エッセイ集。 朝井リョウ/風と共にゆとりぬ

エッセイが好きだ。
毒にも薬にもならないゆるいテンションで書かれたエッセイを読むという行為には、
読書の快楽が詰まっている。

で、ひょんなことからこの本を手にとった。

前作のエッセイが好評だったから出たと思われる第2弾。
自分は、一作目の『時をかけるゆとり』は読んでないけれど、
今時、エッセイの第2弾が出るということはそれなりに面白いんだろうと当たりはつく。

そもそも朝井リョウの小説を読んでるのか、という問題があるのだが、
正直に告白すると読んでない。
桐島、部活やめるってよ』が売れた時は、
御多分に洩れず「◯◯、△△やめるってよ」ってネタにしてた。
でも読んでない、ごめん。

そんな私が読んでも文句なく楽しかったのがこのエッセイだ!
エッセイって、結局作家の身の回りのなんてことない日常の話だったりするのだけど、
だからこそ、何を切り取るのかというところでセンスが現れるし、
日常を、世界を見る視点が露わになる。

エッセイの楽しみはこの他者の視点を知ること、
それも作家という変態が世の中を見つめる目を知ることだと思っていて、
共感できることもあれば、全く意味わからないこともある。
でもこの全く意味わからないことこそ自分にはない世の中の見方であり、
自分にはない価値観そのものなので、それがまた新鮮で楽しいんだなぁ。

作家の目を通じて世界を改めて見る、という新鮮さと、
自分にはできない体験を作家の目を通じて知ることができる。

例えば本作では肛門記と名付けられた書き下ろしがあり、
そこで赤裸々に痔、および痔が悪化した痔瘻と手術して回復するまでの話が語られるのだけど、
最初は痔というどこかファニーな持病を自らおちょくりつつ、次第に笑ってられない状況に直面していく姿は、
読んでる読者にとっては(申し訳ないけど)面白さ以外の何もない。

そもそも人が笑ってられない状況に直面していくことほど滑稽なものはない。
ここには笑いの真理が詰まってる。

なんの脈絡もなく突然思い出したけどデトロイト・メタルシティが面白いのも、
主人公が笑ってられない状況に追い込まれるからこそなんだよな。
結局人が困っている姿って滑稽なんだよね。人間て意地悪ね。

まぁ古今東西、色んなエッセイがあるけれど、総じてエッセイは面白い。
朝井リョウは現代っぽいというか、なんかそれなりにウケるエッセイを自覚的に書いてる気がするから、
エッセイ初心者も楽しみやすい気がする。

面白いんだけど、ちょっとネタっぽすぎるきらいはなきにしもあらずなのだけど、
まぁその辺は今後円熟していってくれるのでは、と期待。

というわけで、順番逆だけど、前作のエッセイも読んでみようかな。

1巻で終わるけど、漫画というよりは挿絵付きストーリー、密度はかなり濃厚よ。 手塚治虫/黄金のトランク

黄金のトランクを持って現れた謎の人物は翌朝消えていた。

謎が謎を呼ぶ黄金のトランクは、西日本新聞に連載されたという変わり種の作品。
漫画というよりは挿絵とストーリー。

黄金のトランク

黄金のトランク

新聞連載だけあって、物語としてはかなりボリューミー。
まともに漫画にしたら、かなりの巻数になるきがする。

それは裏を返すとそれだけちょいとダラダラしているという冗長な面もあるのだけど、
物語部分がグダグダで、訳のわからないまま進む初期作品群に比べれば随分マシな気もする。

黄金を自由に生み出せる異星人が地球を乗っ取るために世界をインフレにするっていうプロットは、
今尚有効な気がする。

金融を混乱させることが世界を乱す有効な方法ってのは変わっていないと思うから。
そして結局人間は皆金が大好き。
金をばらまきゃ便宜も図られる、そんな世界もこの作品発表当初から大筋変わってない。

しかし、本当に手塚治虫というのは詰め込みすぎな人だよな。
当時はこれが良しとされたのだろうか?

1つの作品にとにかく色々な要素が盛り込まれまくって、
物語から逸れていく。
いろんな要素が中途半端に終わる。
どちらかというと、もう書き散らしている印象でしかない。
でも実際書き散らかしてる風なことを本人も言っているので、仕方ないっちゃ仕方ないんだよね。

それでも書き続けたからこその手塚治虫なんだろうなぁ。

そう考えると、とにかく書きまくること自体が偉大に思えても来る。
今の時代、作品を公表する場はいくらでもあるんだから、
漫画家として生きていくなら、手塚治虫以上の作品数をとりあえず描いてみれば?
芽が出てなくても、描かなきゃ始まらない、とも言えるよね、と思う今日この頃。


黄金のトランク

黄金のトランク