Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

小説(海外)

悪党を助けようとする主人公の偽善を冷たく指弾する博士が最高。R・オースティン・フリーマン/キャッツアイ

北条司の怪盗3姉妹ではなくて、 英国のミステリ、往年の名作らしい。科学者であるソーンダイク博士が謎を解き明かして行くのだけど、 途中、冒険小説っぽくもなる。敵地で毒殺されそうになったり、危機一髪な感じ。自分たちが回避した罠に敵がハマって死ぬ…

夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。 ウィリアム・アイリッシュ/幻の女

妻とは離婚したい、なのに妻は離婚だけはしてくれない。 その日も一緒に行くはずだったショーに向かう直前に喧嘩して、 最初に会った女性を誘うと言い放ち出て行く夫。で、実際バーで出会った女性を誘い、食事をし、ショーを見て、 家に帰ると妻が死んでいる…

密室に生首ごろりん、誰も入ってないって言ったじゃん、ていう話。 ジョン・ディクスン・カー/夜歩く

推理小説は初心者なので、いいも悪いもわからんのだけど、 楽しいかと言われれば拍子抜けって感じがしなくもない。イラストのゴシックな雰囲気に惹かれて興味を持ったのだけど、 まぁなんというか、ディクスン・カーは怪奇な作風が特徴らしく、 確かに怪奇っ…

ルブラン 南洋一郎/八つの犯罪

相変わらずルパン全集読んでる。 真夜中に野原に馬を走らせる小さな人影がある。強欲なおじ伯爵のやしきから逃げだした、孤独な美少女オルタンスだ。少女は青年公爵レニーヌにすくわれ、あれはてた古城でおそろしい秘密の真相を知る。古城の大時計が八時をう…

友だちの友だち同士が会おうとするけど会えなくて気付いたら友だちヤキモチ妬いてるの ヘンリー・ジェイムズ/友だちの友だち

なんか気をぬくと頭に入ってこない文章なのだけど、 集中して読むとなんか妙な面白さがある感じ。何が本当なのかよくわからないっていう作風。この人の言っていることは本当? いやそもそも本当のことって何だろう?と、読んでてだんだんわからなくなってく…

タイトル通りどの話もうっすらと黒いベールがかかっているようなお話ばかり  レオン・ブロワ/薄気味わるい話

ちょっと皮肉でシニカルな短編集。「煎じ薬」では、教会でつい母親の告解を聞いてしまう。 どうやら誰かに毒を盛ろうとしているらしいのだけどその相手は・・・ 自分じゃーいって話。「ロンジュモーの囚人たち」は街から出ようとすると、 怪我したり事故が起…

素直にドキドキ、ハラハラしながら読めば良い ルブラン 南洋一郎/8・1・3の謎

「8・1・3」と「APO ON」という謎のキーワード。 この秘密を巡る冒険活劇みたいな作品がこれ。ルパンてお宝を鮮やかに盗み出す物語かと思いきや全く違う。ルパンの偽物が出てきたり、 国際的な陰謀に巻き込まれながらも、 その計画自体を自分が乗っ取ろうと…

ルパンの物語は実在する世界で、実在する作家が、読者にお伝えしている物語。南洋一郎/怪盗紳士

ポプラ社のルパン全集第2巻。怪盗ルパンが初めて登場した作品らしい。「金髪で、右腕に傷あとがあり、変名の頭文字はR。怪盗ルパンが紛れこんでいるという知らせをうけた豪華客船の乗客たちは騒然となり…。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが初めて登場した作品。…

肉体は物質ではなく時間。 グスタフ・マイリンク/ナペルス枢機卿 バベルの図書館 12

オーストリアの小説家、『ゴーレム』や『緑の顔』といった幻想小説が代表作。 しかしいまいちすんなり入って来なかった・・・ 私たちは時間で出来た構成物なのであり、肉体とは、物質であるかのようにみえて、流れ去っていった時間以外のなにものでもないの…

色々な喪失とその余韻に文学感じちゃう短編集 ハーラン・エリスン/愛なんてセックスの書き間違い

SF素人なのでハーラン・エリスンがSF界でどんだけのもんなのかは知らない。 結構すごいらしいけど。で、これはそんなエリスンの非SFの作品を集めた短編集。タイトルがかっこいいよね。 愛なんてセックスの書き間違い (未来の文学)作者:ハーラン・エリスン出…

幸せや楽しみは自ら見出すものであるなぁ。エイモア・トールズ/モスクワの伯爵

ずっと同じホテルに軟禁されたら・・・ それはさぞ退屈で代わり映えのしない日常。 苦痛を伴う日々になるかもしれない。モスクワの伯爵作者: エイモアトールズ,宇佐川晶子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログ…

想像していたよりも幻想的な作風。 H.G.ウェルズ/白壁の緑の扉

バベルの図書館のウェルズだよ。白壁の緑の扉 (バベルの図書館 8)作者: H・G・ウェルズ,ホルヘ・ルイス・ボルヘス,小野寺健出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1988/09/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るウェルズといえば、タイムマシン…

人間の弱さや傲慢さを滑稽に描く寓話たち ヴォルテール/ミクロメガス バベルの図書館

バベルの図書館はボルヘスが世界中の物語を編んだアンソロジー。 旧バージョンは全30巻で、1冊1冊が函入りというこだわりの装丁。 大人になって小銭稼ぐようになったので、学生の頃欲しかったこのシリーズを大人買いしてみた。ヴォルテール―ミクロメガス (…

今更fateブームに乗っかってFGOも始めたついでに読んでみた。貴婦人の放った矢がランスロットのお尻に刺さっちゃうシーンが一番好き。 トマス・マロリー/アーサー王の死

fate Grand Orderのキャンペーンを大々的にやっているのを見て、気になったのがきっかけ。 そこからfate見てみたら、アーサー王だとか聖杯だとかが出てくるじゃない?アーサー王と円卓の騎士とか、ちゃんと読んだことなくて知らなかったのよね。というわけで…

スター・ウォーズの映画つまんねって思ってる私をしてなにこれすごい面白いじゃんと思わせた傑作。 テリー・ブルックス/スター・ウォーズ エピソード1:ファントム・メナス

スター・ウォーズ、実は全然はまらなかった。何度かブームが来る度に、映画を見直してみようとしてみた。 全世界であれだけ人気のエンターテインメント作品を全く面白いと思えない自分は何か大事なものを見落としてるのではないか? 小難しい作品ばかり評価…

ふとした瞬間にあらわれる豊かな表現との出会いを楽しむ。 フランティシェク・クプカ/カールシュタイン城夜話

チェコ版『千夜一夜物語』と評される物語。毒を盛られた王が城で養生している間、三人の家臣と夜毎に 女の話をして無聊を慰める、という形式。王も自分の想い出話を語り出すのがちと新鮮。 王だけはいつも自分の女の話。カールシュタイン城夜話作者: フラン…

全然ご機嫌じゃない、終始不機嫌って感じの警察小説。 ユッシ・エーズラ・オールスン/特捜部Q 檻の中の女

デンマークの作家の人気シリーズらしい。推理小説系は全然読んでないので、全く経験不足なんだけど、 なんか評判良さそうだったから読んでみたって感じ。主人公のカールはとある事件で同僚とともに襲撃されており、自分は無事だったものの 1人は死亡、1人は…

ずっと読まないできたけど以外と面白いじゃないか! J.K.ローリング/ハリー・ポッターと賢者の石、秘密の部屋、アズカバンの囚人

ずっと読まずにいたのだけど、USJ行くから読んでみた。両親を悪の魔法使いに殺され一人生き延びた赤子がハリー・ポッター。 魔法界でも、なんかちょっと特別な存在なんだけど、 普段は人間の親戚の家で暮らしていて、ゴミみたいな扱いを受けている。ハリー・…

東日本大震災への200億円を越える義援金、あの時台湾では何が起きていたのか? 木下諄一/アリガト、謝謝

台湾在住30年の著者が取材を重ねた上で小説に仕立てたフィクション。 ただ、個人名や組織を変えてはいるけれど、実際にこういうことが起きていたのだろうという点では、 ノンフィクションのルポを読んでいる感覚に近いものがある。アリガト謝謝作者: 木下諄…

読んだら本当に誰もいなくなってた。 アガサ・クリスティー/そして誰もいなくなった

アガサ・クリスティーの代表作。 読んだことなくても名前は聞いたことがあるような有名作品。まぁ、きっと誰もいなくなるんだろうな程度に思っていたわけなんだけど、 孤島に招待された客全てが謎の死を遂げていくミステリー。そして誰もいなくなった (ハヤ…

処女作かつポワロ初登場。 アガサ・クリスティー/スタイルズ荘の怪事件

アガサ・クリスティの処女作にして、名探偵ポワロ初登場。資産家の女性が年下の男とくっついて、 周囲からとやかく言われてるところで、死ぬ。義理の息子?旦那?それとも??犯人はこの中にいる的な状況で起きる死亡事件を その場に居合わせてしまったヘイ…

探偵も殺人事件もないけれど、凡庸な主婦が他人の人生を殺す。あぁ、これは嫁ブロック小説だ。 アガサ・クリスティー/春にして君を離れ

今まであまりミステリーにはハマってない。 ミステリーとSFはほとんど読んだことがないのだ・・・。SFよりはミステリーの方がとっつきやすいような気がしてるんだけど、、、。 それでもこの本を読んでみようと思ったきっかけは天狼院書店の記事でした。そし…

イギリスのブラック・ユーモアってなんか京都的まどろっこしさを感じる。 ミュリエル・スパーク/バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集

ミュリエル・スパークは英国の作家。ブラックユーモアの効いた作風、とか 短編の名手みたいな評判をちらほら耳にして気になっていたので、 この短編集が刊行されたときに思わず買ってしまった。ただ、イギリスのブラック・ユーモアとか正直よくわからんと言…

ハードボイルドでした、色々と。 ギャビン・ライアル/深夜プラス1

ミステリとか推理ものとか、その手のエンタテイメント小説には縁遠かったのだけど、 それはそれで楽しいよね、と思ったりもして来ていて、たまに世評の高いものを買う。 これもそんな1冊。なんか、評判良いし、何よりもタイトルになんか惹かれた。 深夜プラ…

自分ではどうしようもない閉塞感が文章になったような、不条理な夢。アンナ・カヴァン/アサイラム・ピース

既にこの本が発売されてから2年ほど経っているけれど、 ちょうど本書の刊行くらいから、アンナ・カヴァンが再燃している感じ。不安定な精神状態からヘロインを常用するようになりながら、 常に書き続けた作家。書くことで救われるって言うタイプの作家。 そ…