完結したので、4年ぶりくらいに一気読みしてみた。
登場人物のクレイモア達の顔がみんな似ていること、
刊行ペースが遅かったこと、
そして物語の中で時間と場所が飛んだりすることもあって、
半年ぶりに次の巻が出て読んでも、さて、この人誰だっけ?となりがち。
でも一気に読めば、なかなかの名作。
思えばファンタジー系の作品は、一気読みしたほうが良い気がする。
三宅乱丈の『イムリ』も素晴らしいのにバラバラに読んでいると訳わからなくなる。
大ブレイクした『進撃の巨人』だって、あれが半年に一回しか出なかったらもっと売れてない。
ファンタジーって世界観の設定とか、背景を物語の随所に入れているから、
そういうディテールや伏線を含めて読まないと、いまいちわからなくなるんだろうな。
で、クレイモアってのは人を喰らう妖魔と戦う銀髪の女剣士たちの総称。
妖魔と戦うために自らの体の中に妖魔を取り込んだ半人半妖の存在って言う設定。
クレイモアは強さに従い序列が付いているだけど、主人公のクレアはNo.47、
すなわち最弱のクレイモア。
この主人公が弱いって言うのは、この作品の特徴。
そして敵が超強い。出てくる人たちがみんなフリーザに見えるくらい強いやつばっか出てくる。
なので、気持ちよく敵を倒すってのはあんま無くて、
どちらかというと重苦しい絶望感や無力感こそがこの作品の魅力。
また敵が超強いので、仲間があっさり死にまくる。
中途半端な序列のクレイモアたちは無力さの演出のためにいるモブだ。
そういう点では進撃の巨人に通じるところもある、というか、
同時期にこういった無力系、絶望系のものが世間に受け入れられるってのも
なんか世相を表しているようで興味深い。
クレイモアは死ねばどんどん新しいのが補充されて常に序列が付け変わり、
世代交代していくのだけど、物語的に取り上げられるのは、結局ごくわずかの
クレイモアたちに限られる。
一芸に秀でた者たちが連携して、みたいな水滸伝的展開もできる設定だったとは思うが、
そこは、そういう気持ちの良い活劇ではなく、重苦しい世界を描きたかったのだろう。
読み終わって、ふと考えると気になったのは、
なんでクレイモアのナンバーは47までなんだろうということ。
物語の中で地域担当制なんてことも明かされていたけど、
これってやっぱ単純に1都1道2府43県からの47なんだろうか。
そう考えると聖都ラボナは京都かね。
北の覚醒者討伐も日本史における蝦夷討伐とかぶる。
さながらミリアは征夷大将軍といったところか。
まぁくだらない想像だけど、他の大陸の話とか、
色々と広がりを持てる設定がたくさんあったので、
続編に繋がるネタは各所に散りばめられていた。
誰か、この世界と設定を元にノベライズしたら、
かなり面白いと思うんだけどな。
J BOOKSとかに期待。