Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

他者の視線や評価を意識して演じているとすれば、それはこの本の中の世界と同じくらい滑稽。 筒井康隆/48億の妄想

筒井康隆の処女長編。
作家のシニカルな魅力がちゃんと詰まってる。
やっぱり処女作って作家性が色濃く出てくるんだな。

で、本作は誰もがテレビに夢中な世界。
テレビに出ることを夢見ていて、テレビに振り回されている。
街の至る所にカメラが仕込まれていて、
皆、そのカメラを意識して、ウケを狙って生活しているっていう設定。

カメラが仕込まれている世界というと、監視カメラをイメージする。
それこそ『1984』のビッグブラザーのような世界。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

でも、これは監視されているというより、自ら望んでカメラに映ろうとする世界。
その逆転の発想が面白い。

でも要するにそれって他者の視線、他者からの評価を気にして振る舞う世界のカリカチュアであり、
そのテーマの有効性は今なお続いていると言える。
むしろ、SNSの普及など世界は益々この小説の世界に近づいているかもね。

人からどう見えるか、人にどう思われるか、そんなことばっか考えて生きてる姿は、
この小説内でテレビに振り回される人々たちと同じくらい滑稽で哀しい存在ということだな。