Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は良い時で月1000円くらいです(笑)収入はすべて本の購入に充てられます。

歴史を知ると世界は繋がっているってことを実感する。 出口治明/「全世界史」講義

ライフネット生命の会長さんである。
本ばかり出してる社長、会長のいる会社、なんて揶揄されていたりもするけれど、
少なくとも会長の方は本出した方が世のためになるんじゃないか、と思う。
もちろん、変なHowTo本じゃなくて、こういうやつね。
稀代の読書家じゃないと出せないようなやつ。

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史

歴史って面白い。
でもふと思うのはなぜ歴史は楽しいのかということ。
そしてこう言った歴史を語る本が楽しいのはなぜなのか。

年表の羅列を見たって少しも面白くないことは、
高校までの授業で散々思い知ってきた。

まぁ歴史の中の人物、物語が面白いってのは1つある。
歴史に人あり、人にドラマあり、みたいな感じね。
これは歴史小説って形で最高のエンターテイメントになってる。

でもこの本は歴史小説ではなくて、歴史を語る本。
で、そういう本の醍醐味って世界の各地の文化、歴史を俯瞰してみることで、
思わぬ共通点とか、一つの大きな波が波及していく様子とか、を掬い取ること。
そういう物の見方だったり、長い時間軸の中に今を位置付けることで
見えてくる歴史観だったりとか、そういうもんが楽しいんだろうな。

例えば、古代メソポタミアから中国に至る文化の伝播と、神の創造に関して。

中国の神様は太陽神が基本です。長江中下流域の稲作文化がこうが中下流域に及び、そこにはるばるメソポタミアから、チャリオットや宦官などが入ってきました。ここに農耕文明と稲作文明がぶつかりあって、夏や商が建国されました。しかし文明の中心は、大量の収穫がある稲作でした。農作業には暦が欠かせません。暦の軸は太陽です。太陽が権威の象徴となり、権力と結びついて神様の素朴な形になった。
1巻 P.51

年表ではない、歴史の面白さってこういうことだよなぁ、と。

そして何気ない共通点もこう見ると面白いっていうのがこれ。

バラモン教には十二の神様がいます。ギリシャオリンポス山にも十二の神様がいました。インドもギリシャも、同じインド・ヨーロッパ語族だからです。この十二という数は、一年が十二ヶ月あるから神様も十二人いるだろうということで、もともとはエジプトに由来する考え方です。奈良の新薬師寺にも国宝の十二神将がありますが、すべてつながっているのです。
1巻 P.102

もちろん、『聖闘士星矢』で黄金聖闘士が十二人なのも、黄道に十二星座あるからで、
それは一年が十二ヶ月だから黄道上に十二の星座を見出したわけですから、
やっぱりすべてつながっているのです。

[asin:B00U0DXC8O:detail]
[asin:B00U0DHA7S:detail]

他にも、

古事記天照大神のモデルは、まちがいなく持統天皇でしょう。
ふたりとも孫に位を引き継ぐのですから(ニニギノミコト文武天皇)。
持統天皇が不足点をロールモデルとしたように、武則天持統天皇の活躍をお手本として、元明天皇元正天皇孝謙天皇と、女帝が続きました。
P.163 - P.164

へぇってなる。

文中で紹介される本も気になる。
カタリ派とアルビジョア十字軍に関してオススメされていたもの。

オクシタニア〈上〉 (集英社文庫)

オクシタニア〈上〉 (集英社文庫)

旅涯ての地〈下〉 (角川文庫)

旅涯ての地〈下〉 (角川文庫)

これらはわざわざ文中で言及するくらいだから期待値が高まる。

知ってる歴史的事件の認識が全く違うことを知るっていうのも面白い。
例えば、元寇。神風吹いて勝った位のことしか知らんかったけど、そもそもなんかおかしいよね元寇って。

クビライは海外の事情に通じており、日本と交易をするつもりで使節を送りました。ところが鎌倉幕府は、国際情勢も外交上の儀礼も知らずに使者を斬ってしまった。それが文永の役の発端でした。
P.330

こう見ると坂東武者の野蛮さが招いたひどい事件だなぁ、という印象。
他にもマルコ・ポーロは一部の学者の中では、マルコ・ポーロと呼ばれる誰か、
と呼ぶようになっているらしい。
というのも、マルコ・ポーロが乗っていたはずの船の乗客名簿にマルコ・ポーロっていう名前がないんだとか。

フランス革命に関する章では、さらっと国民国家に関して触れているのだけど、
国民国家という想像の共同体、を初めて現出させたのがフランス革命である、と。
マスコミに煽られがちだけど、国民国家への帰属意識なんてたかだか数百年のものに過ぎない。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

世界を一歩引いて見ることができる、歴史を知ることにはそんな意義があるんだな。
そして巻末の参考文献リストは圧巻。
塩野七生 全著作 ってしれっと書いてあるのは笑った。
こんな表記初めて見たよ、まぁ書ききれないんだろうけど。

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史