Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました

才能と努力、2つの対比こそがこの作品の醍醐味。 一色まこと/ピアノの森

数ある音楽漫画の中でも、指折りの名作。

母は売春婦、ならず者たちが集まる地域で育ったっていう、
連載当初の設定がトンガリ過ぎていたことで、
一般受けしづらくなってしまったきらいもあるけれど、
これは間違い無く名作。

才能に恵まれていること以外は不遇の少年が、
人との出会いを通じて才能を開花させていく様は、
見ていてとても気持ちが良い。

そして、この物語は努力と才能の物語でもある。


ありえないくらい不幸な環境と、そこに似つかわしくない輝かしい才能。
恵まれた環境とたゆまぬ努力をもってしても乗り越えられない才能の壁。

この努力と才能の対比を主人公と、彼のライバルを通じて描いている。

そういう意味では、真に素晴らしいのは、主人公の活躍ではなく、
ライバルの努力と成長の軌跡の方が、より人間臭さが爆発していて良いかもしれない。

努力を努力と思っているうちは、壁は越えられない。
楽しんでやっている人は、凡人が努力だと思ってること以上のことを、苦もなくこなすからね。
そういう点で楽しんでる奴にはかなわないんだよなぁ、とか、
才能と努力に関して、ひとしきり考える機会を与えてくれた。

ついに連載終了し、最後の単行本が出たので一気読みしたけれど、
これはもっと多くの人に読まれるべき作品だと思う。