Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

ふとした瞬間にあらわれる豊かな表現との出会いを楽しむ。 フランティシェク・クプカ/カールシュタイン城夜話

チェコ版『千夜一夜物語』と評される物語。

毒を盛られた王が城で養生している間、三人の家臣と夜毎に
女の話をして無聊を慰める、という形式。

王も自分の想い出話を語り出すのがちと新鮮。
王だけはいつも自分の女の話。

カールシュタイン城夜話

カールシュタイン城夜話

特別面白いお話があるわけでもないのだけど、宗教や文化という土台の上に成り立つ、
古風な表現が興味深い。

例えば、悪魔はとても制欲に満ちた存在として表現される。

彼女は昼も夕方も悪魔と同じくらい彼と愛し合っているが、世間は彼女が淑徳に満ちていると思っているのだ。
P.85

他にも、薔薇が美しいものの象徴として度々登場したり、とか。
中でも秀逸だなと思ったのは、口づけの描写。

彼女がもう一度私に笑いかけ、私は彼女の腰を抱いて口づけをした。この口づけは四枚の薔薇の花びらが触れ合ったようだった。
P.96

こういった、魅力を伝える表現がなんとも奥ゆかしく、趣深い。
さらに、女性が歩くだけでも、こうなる。

彼女が門を出ればさながら早春がやって来たかのようで、水溜まりは虹のように輝き、いかめしい壁は野薔薇のように身を装った。
P.171

このくどさもまた味である。

そして本作で一番好きなシーンは、苺でできた白いスカートの染みを口づけで吸い取ろうとするシーン。

私はスカートの前に跪き、近づいてその染みを眺めた。その時この染みを着物から吸い取ろうという考えが浮かんだ。私は彼女にそうさせてほしいと言った。彼女は本当におまじないで取るのだと思って頷いた。白いスカートの赤いところに触れた時、私は唇の下に尖った暖かい女の子の膝小僧があるのを感じた。それは幻であり、思いもかけない謎であり、美しく魅惑的だったので、私は飛び上がって彼女を見た。きっとその目に私の興奮を見て取ったのだろう、どうして途中でやめたの、と聞いた。
P.94

ここには瑞々しい性の目覚めみたいなものが表現されているね。
物語がどうというよりは、こう言った豊かな表現にふと出会えることを楽しんだ本。

カールシュタイン城夜話

カールシュタイン城夜話