SF素人なのでハーラン・エリスンがSF界でどんだけのもんなのかは知らない。
結構すごいらしいけど。
で、これはそんなエリスンの非SFの作品を集めた短編集。
タイトルがかっこいいよね。
てっきりなんかの短編作品のタイトルを署名にしたのかと思ったらそうではなくて、
タイトルは「パンキーとイェール大出の男たち」という作品の冒頭に出てくる台詞。
大物作家のソローキンがイェール大学を出た若者二人と飲みに行って色んな体験をする話なんだけど、
ソローキンの共感力が高すぎて相手の思考を読み解いてしまうっていう設定が面白かった。
まぁそれも序盤だけで物語上重要なわけでもないんだけど、
人の典型的な思考パターンとか、好きなんだよね。
全体的に閉塞感や喪失感にまみれた作品が多い。
社会の底辺を描いたようなものも多くて、悲惨な境遇の人間たちの悲惨な物語だったりするのは、
読んでいてこちらも少し重苦しい気分になる。
そして何かと喪失を描くのよ。
その喪失の余韻に文学感じちゃうのよ。
仲間の女が妊娠したのでメキシコまで行って闇医者に堕胎してもらう
「ジェニーはおまえのものでもおれのものでもない」とかはわかりやすい喪失の物語。
父親を探し出して殺そうとする少年を描いた「第四戒なし」も面白い。
少年は父親を見つけ出し殺し続ける物語。狂気の描かれ方がとても良い。
近所の不良共に悩まされ、妻が襲われた大人の復讐劇「ガキの遊びじゃない」もいけてる。
大人は静かに報復する。
何も知らぬまま死ぬバカと計画的に死へと導く大人のコントラストが秀逸。