嫁が面白いって言ってましたよ。
でもね、まぁ別にいいやくらいに思ってたんだけど。
この前『幽麗塔』を読んで、面白かったもんだから、
同じ作者の作品が気になっちゃったわけだ。
で、読んでみたら想像以上に面白かった!
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「医者」をテーマにした漫画は数多い。
古くは手塚治虫の『ブラックジャック』をはじめとして、
枚挙にいとまがないほどだと思う。
だからこそ、「医者」ものはある程度想像がついちゃう。
そういう意味ではものすごく競争の激しいテーマなんだと思う。
物語の作り手側の視線で考えると、「医者」はテーマとしては扱いやすい気もする。
そもそも人の命に関わるシーンは不可避なわけで、それ自体が感動を誘いやすい。
でも、それだけじゃなくて、医者=聖職、みたいなイメージと、
その対極にある大学病院内での院内政治みたいなダークサイドと、っていう対比が
とてもわかりやすいドラマになりやすい。
医者もまた一人の人間であり、様々な葛藤を抱えてるんだ!っていう話は
人の命と絡めて苦悩を描きやすいし、聖職のイメージがあるからこそ、
ダークサイドが際立つってのもあるよな。
あと、こと外科に関していうと、職人技の世界だっていうのも面白い。
勉強だけできても臨床の外科医としては大成しない。
手術はあくまでも技術が少なからず要求される世界。
それってとてつもなく面白い制約。
技術、政治、倫理、欲望、色んな側面が絡み合う世界。
『白い巨塔』とかはそういうのがうまくミックスされた1つの完成系なんだろう。
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で、『医龍』はと言うと、
天才的な外科医、
改革を目指す助教授、
凡庸な医師、
そしてそのライバルたちが織り成す
一大医学政治ドラマ。
そう、『医龍』は政治ドラマ。
でもそこに天才的な外科医が絡むことで、
難題を解決するカタルシスを読者に与えてる。
研修医の成長ドラマでもあり、
チームワークで難題を解決する、友情、努力、勝利的な要素もある。
過去に囚われていた人間が一歩前に踏み出す物語もある。
要するに、色んな物語の型が医療ドラマという枠組みの中にきれいに収まってる。
物語もだれてない。だから読み始めると一気に読みたくなってしまうんだなぁ。
そして何よりも、無駄に人殺して涙を誘わない。
これ、とても大切なことだし、本当に力がないとできない。
作者はその作品に対して神の位置にいるから、なんでもできる。
登場人物を殺し、涙を誘う、なんてこともできてしまう。
水は低きに流れるから、安易な感動を誘おうと思えばなんでもできる。
医療がテーマならなおさらだ。
でも、それは作者の傲慢だし、力量不足だと思うんだよね。
登場人物の無駄な死は、作者のあざとさが露呈するリスクを常に孕んでる。
でも『医龍』はそういうところもうまいバランスでできてたと思う。
冷静に作者の御都合主義だって言い出したら否定できない部分もなくはないけど、
それを上回る全体の構成だった。
乃木坂太郎、なにかしら原作的なものがないと難しいのかもしれないが、
原作の力を120%引き出す才能があると思われる。
で、言ってることがとてもまとも。
これは、ビジネスマンの心にも深く突き刺さるのではなかろうか!
とりあえず、最新作も要チェックだわ。
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もっともっと、描いて欲しいな。
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