書店で見かけて気になったのでジャケ買い。
バロン・サツマってなんじゃらほい??
蕩尽王って??ていうか蕩尽ていう言葉今日びなかなか目にしない。
20世紀初頭のパリ社交界を風靡した日本人。
26歳でレジオン・ド・ヌール・シュバリエを叙勲。
パリに日本館を私財を投じて建設、開館記念の晩餐会は1夜で1億円かけたらしい。
30年で使った金は600億円。
もう桁が違い過ぎる。
こんな面白そうな人がいたなんて知らなかった。
- 作者: 村上紀史郎
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: 単行本
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こういうの読むとしみじみ思うけど、
明治の開国以降の日本人って、すんごいグローバルだよな。
エリートはこぞって、海外での生活をしている。
グローバル人材が重要とか言ってるけど、
昔のエリートは超グローバル人材だよね。
戦後、むしろなんかおかしくなった感じなのかな??
高度経済成長を経て、日本がNo.1みたいなバブルを経験したもんだからおかしくなったの?
それ以前に戦時中に閉じた感じがおかしくしたのかな??この辺、どうなんだろ。
で、この治郎八は自らも4冊の著作を残し、そのパリ生活を披歴しているのだけど、
物事の前後関係に無頓着だったらしく、かなり色んな事実関係がアバウトなんだそうな。
別に嘘つきとかそういうわけではないみたいなんだけど。
で、この本は、そんな治郎八の自伝の間違いや誤解を各種の資料に当たりながら丁寧に掘り下げ、
真実を浮き彫りにしていくというもの。
本人が解説でも書いているが、治郎八の自伝の注釈みたいな本なのだ。
なので、治郎八自身のことよりも、治郎八周辺の人物の話などから、
治郎八のファクトが見えてくる、って感じ。
その交友範囲は半端ない。
同時代に向こうで活躍していた藤田嗣治などの日本人はまだわかるが、
普通に作曲家のラヴェルなんかとも友人だったらしい。
交流のあった音楽家たちとラジオの放送を聞いて、
その曲が何かを並みいる音楽家がわからない中、治郎八が当てるエピソードなどは、
彼の教養の深さを示すエピソード。(P.115)
それはそれで面白いのだけど、それよりも治郎八自身の物語をもっと読みたくなってしまった。
でも自身の著作は絶版で、結構いい値段になってる。
- 作者: 薩摩治郎八
- 出版社/メーカー: 山文社
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- 作者: 薩摩治郎八
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他人が書いた評伝は今でも入手しやすい。
- 作者: 鹿島茂
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薩摩治郎八―パリ日本館こそわがいのち (ミネルヴァ日本評伝選)
- 作者: 小林茂
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規格外の大人物だな。
何というか、そういうのってアホっぽさもあるけど、
ものすごく真っ直ぐなところもあるから、
ただの金持ちの道楽話ってわけでもないのよね。
それはそれで一つの金の使い方、なのだろう。
現代でもこういう話がちらほらあったりすると楽しいのだけど、
どうなんでしょうね。
- 作者: 村上紀史郎
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