今、再び漫画化されている銀河英雄伝説。
アルスラーン戦記と言い、田中芳樹ブームが再燃の兆し。
で、実際藤崎竜の漫画版コミックを読んだら、
懐かしさマックスで原作を再読してしまった。
実に20年ぶりの再読。
時空を超えた読書って感じ。
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物語は帝国と同盟、
独裁と民主主義、
ラインハルトとヤン・ウェンリーを
軸に展開していく。
腐りきった帝政を打倒し、自ら皇帝になっていくラインハルト、
不本意ながらも戦いに巻き込まれ、自らが守ろうとする民主主義に
足を引っ張られ続けるヤン・ウェンリー。
天才の独裁と、腐った民主主義、それってどっちが良いのかしら、とか
再読してあぁ、こういう話だったのか、と感心することしきり。
完璧な正義など存在しない物語であり、
それぞれの正義の名の下に物語は進行していく。
アルスラーン戦記もそうだが、田中芳樹の作品はとにかくキャラが立っている。
キャラ立ち小説。
アルスラーンと違って、宇宙での艦隊戦なんてすげー地味だからね、
戦闘シーンの難しさを考えるといかにキャラで持ってるかがわかる。
ヤン・ウェンリーに憧れ紅茶にブランデーを垂らした人間はきっとたくさんいるはず。
自ら争いは望まないのに、前線に立つと無敵の強さを発揮する天才用兵家っていう
キャラクターは、実に日本人好み。
結局は雇われもので、上司の都合に合わせて振り回され、
それでも常に結果を出さなきゃいけない感じとか、
サラリーマンの悲哀が詰まっている。
でもそんな状況でも飄々と成果を出し続ける怠け者の天才。
努力を悟られることなく、しれっと結果出す、みたいな美学。
それを体現しているのがヤン・ウェンリー。
そして作者は皆殺しの田中と呼ばれたことがあるほど、
作中の人物が次々と死んでいく。
読んでいてこんなにちょっと待ってよ、と作者の神の手を呪う小説も少ない。
キルヒアイスが2巻で死んだ時は全く理解できなかったし、
再読しても喪失感が半端無い。
そんでもってヤン・ウェンリーも8巻で死ぬ。
あっさり。これもまた読んでいて、うおーまじかよーってなる。
物語としてはヤンを失った後は正直つまらん。
9巻、10巻は蛇足な感じが否めない。
しかし、今読んでも違和感なく面白い。
作品の持つ力は偉大だな。
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