極道の家で育った娘が、不良が集まる学校の教師になる話。
熱血先生が不良と向き合って生まれるいい話ってのは、
もう古典芸能って感じの世界だ。
だから、正直興味なかったんだよね。
どうせそういういい話するだけなんでしょっていう。
でも、『高台家の人々』がとても面白かったので、
森本梢子は天才なんじゃないかと今更ながら気づいたわけです。

- 作者: 森本梢子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: コミック
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で、『ごくせん』も読んでみたら、面白い!
普通に面白い!
不良だらけの落ちこぼれ学校の先生と生徒の良い話っていう
想定通りの話だけど、それでもなんか面白い。
とにかくこの作品をイキイキとさせているのは、
小さい「る」だ。
ヤクザの喋り方のステレオタイプ的な少々巻き舌っぽいあの言い回しを、
小さい「る」で表現している。
これが、いちいち徹底されてて、それだけでなんかおもろい。
そして結局この作品て、ヤクザとか熱血教師とか、そういうステレオタイプを
一歩引いたところでうまいことネタにしてるんだよね。
その距離感こそがこの作品の魅力。
ちょっと引いてる距離感。
それは主人公のヤンクミも実家の極道とはちょっとだけ距離感がある。
別に後継ぐことが決まっているわけでもないし。
そのちょっと距離がある感じを装いつつも、
実はどっぷりはまってる=思わず距離が取りきれない感じが
面白さを引き出しているんだろうな。
この、不動明王発言も、いやいやほんまもんのヤクザでもそんなこと言わないでしょうってのを
言ってしまうところに面白さがあるわけだ。
その面白さを出せること自体も絶妙なバランス感覚を持っているってことなんだろうけど、
やっぱりある種のテンプレの中でやってる『ごくせん』よりも
『高台家の人々』の方がより自由に爆発してる気がする。
とにかく、この人は才能があると思うので、
一通り遡って読んでみたい!
高台家も今後が楽しみだなー。