年末からただひたすらに十二国記を読み耽っていました。
18年ぶりの新作が刊行されたと話題だったのだけど、
これまで何度か気になりつつ見送ってきた自分としては今こそ着手する時かな、と。
ファンタジーというのはここではない別の世界へ行って戻ってくるお話、という定義を
何かで読んだことがある。
ナルニア国とかが典型だけど、こちらから、あちらへ行き、帰還する。
確かに十二国記は1巻では女子高生が別の世界へ赴く物語なので、
古典的なファンタジーの定義に則った物語。
ただ、巻によって色々な表情を見せる。
謎解き要素もあれば、貴種流離譚の時もある。
物語の色々な型を使い分け、様々なキャラクターの群像劇を通じながら、
人間の色々な側面を描き出す大傑作だった。
無難に優等生的で八方美人なコミュニケーションを
取っていた主人公が裏では疎まれていたり。
わかりやすい正義を掲げる善人キャラがその実、ものすごく醜悪だったり。
王になり善政を敷こうとしても、官僚を掌握できず何もできずにお飾りにされたり、
綺麗事では済まない人の弱さや醜さを巧みに描いているところが素晴らしかった。

- 作者:小野 不由美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/06/27
- メディア: 文庫