Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は良い時で月1000円くらいです(笑)収入はすべて本の購入に充てられます。

期待していなかったけど不意打ちを食らった気分。ただ脱ぎ捨てるだけ、それがサウナだ! 吉田貴司/フィンランド・サガ

なんとなく、ヴィンランド・サガのパロディなのかなってのがタイトル見たときの第一印象。
だけど、まっっったく関係ないです。

なんとテーマはサウナ。
サウナ漫画って初めて読んだ気がする。

これは、謎のサウナチャンピオンと、サウナと、どこにでもいる凡庸な我々との物語。

フィンランド・サガ(性)1

フィンランド・サガ(性)1

フィンランド・サガ(性)2

フィンランド・サガ(性)2

フィンランド・サガ(性)3

フィンランド・サガ(性)3

サウナを通じて思いもよらぬ深みを見せる展開は、
所々に才能の片鱗と少しの狂気を感じる。

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でも、本当に思ったよりも面白かったなぁ。

wikipediaで調べてみたら、「既婚者であり2児の父。趣味はそうじ。」らしい。

公式ブログやtwitterもあるぞ。

yoshidatakashi.blog54.fc2.com


twitter.com


しかも新刊出てる!!

やれたかも委員会 1巻

やれたかも委員会 1巻

と、思ったらやれたかも委員会の人じゃないか!!!
これも結構話題ですよね。。。

でも僕の出会いは、『フィンランド・サガ』が先でした。
やれたかも委員会で盛り上がっている諸君!
こっちも是非読んでくれたまへ。

フィンランド・サガ(性)1

フィンランド・サガ(性)1

フィンランド・サガ(性)2

フィンランド・サガ(性)2

フィンランド・サガ(性)3

フィンランド・サガ(性)3

人類滅亡の脅威は人類の進化からもたらされる。 高野和明/ジェノサイド

作品は2011年に出版されているが、今読むと
いけすかないアメリカの大統領がトランプを彷彿とさせて
妙なリアルさを感じる。

人類滅亡の脅威は人類の進化からもたらされるっていうお話なのだが、
進化した人類は文字通り人知を超えている、という設定が面白い。

人とは異なる方法で世界を認識し、理解している。
それは学習などで得られることではなくて、
我々には認識できないことが彼らはわかっているのだ、ということ。

例えば落ち葉を落とすといつも同じ場所に落ちるようにできる、とか。
葉の重さや、風の強さなど、1つとして同じ条件にはなり得ない環境でも、
瞬時に変動要因とその影響を認識して同じところに落とせるということ。
それが無意識にわかってしまう存在。

確かに人類の進化は今の人類の延長線的になだらかに起こるのではなくて、
突然変異として発生するのかもしれない。

現実や歴史の中で全くないとは言い切れない、絶妙なリアリティで
紡がれた物語なので、山田風太郎賞を受賞したってのも納得。

結構ボリュームあるけど、読み始めたら一気に読んでしまう快作でした。

ジェノサイド

ジェノサイド

1953年、60年以上前に描かれた『はたらく細胞』みたいなお話! 手塚治虫/38度線上の怪物

38度線上の怪物と言われると、北朝鮮と韓国の国境線、
北緯38度線板門店のことを思い浮かべるけど、全く関係ない!

これは誤認されると自覚した上で意図的につけられたタイトルらしい。
じゃあ38度線って何?ってのは体温のこと!

38度線上の怪物 (手塚治虫文庫全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫文庫全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫漫画全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫漫画全集)

医者らしい発想の物語で、
体内での結核菌と白血球の戦いを描きながら体の中を旅するお話。

確かに手塚治虫の全集は今読んでもつまらんものも多いけど、
物語の型というか、いろんな発想の原型が詰まっている。
で、それ自体はきっと今でも通用するものなんだよね。
そこがすごい。

この38度線上の怪物の発想自体は現代でも有効だってのは、
まさに『はたらく細胞』が体現していると思う。

はたらく細胞(1) (シリウスKC)

はたらく細胞(1) (シリウスKC)


これぞ現代版38度線上の怪物と言えるのでは。

きっと手塚治虫の全集読んで、この発想を現代的に翻案すると・・・なんて考えていくと
いろんな物語が生まれてくる気がする。


38度線上の怪物 (手塚治虫文庫全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫文庫全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫漫画全集)

38度線上の怪物 (手塚治虫漫画全集)

寄生獣ってどんな作品かというと右手がち○こになる作品なんだ。それだけは、忘れないであげてください。。 岩明均/寄生獣

寄生獣』が名作なのはみんな知ってる。
天才、岩明均の代表作。

それなりにマンガ好きなら大体読んでるし、
寄生獣』好きって言っとけばそれなりにマンガ好きな感じする。

寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

そんな『寄生獣』も最初は軽いノリのギャグなんかがあったのよね。
そんなに重たくて壮大なノリじゃなかった。

やっぱり『寄生獣』って言えば、わけわからん寄生生物に身体を乗っ取られて
化け物と化した人が、人間を食い出したりして、
奇怪で醜悪、おぞましい化け物を描きつつ、でも人間も地球に寄生する害虫って点では
そいつらと変わらなくね?的な世界観だったりが有名。

今回再読した際にもこんなシーンが妙に印象に残った。

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人間は、個としてだけでなく、集団として人間だという指摘。
自分の頭以外にもう一つの巨大な脳を持っている。
確かにある種の同調圧力とかも含め、集団としての人間は、
社会の仕組みという巨大な脳みそに支配されている感じはあるかも。

そんな色々と真面目なテーマも随所に孕んだ傑作であることは間違い無いのだけど、
改めて読んで気づいたことがある。

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元々は女の子と話してる時に右手がち○こになるようなマンガだったんだぜ。
それだけは、忘れないであげてください。

寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)

才能は無料ではなくて、持ってるやつは持ってるやつで、何かを捧げている。 羽海野チカ/3月のライオン

このマンガが大好きな人はとっても多い。
だいたいみんな、好きっていう。
村上春樹が好きっていう人と同じくらいの人が
好きになるんじゃないかっていうくらい受け入れられる作品な気がする。

ハチクロでも確立していたコマの間に独白ポエムが流れつつ、
静かにシーンが重ねられていく羽海野メソッドは、
想像以上にポエミーな効果を生み、
みんなが実は抱えながら生きている中2病的な心を優しく刺激する。

そういうの、素晴らしいとは思うけど、
何だかたまに安っぽくも見えてしまって、ハマりきれないってのが正直な所だったんだけど、
最近一気読みしてみたら、少し印象が違った。

もちろん大きなテーマとしては、心にそれなりに傷を持つ内向的な主人公、及びその周囲の人たちが一歩一歩、
前進しながら成長、あるいは再生していく物語。

でもそれだけじゃなくて、才能ある者の孤独みたいなのも時折感じるんだよね。
結局才能ある人は代わりに欠落しているものがあるというか、常人の理解を超えるレベルで、
自らを捧げちゃってるって所があると思っている。
才能は等価交換で、何かを捧げてアンバランスになるが故の才能、みたいな。

才能は無料ではなくて、持ってるやつは持ってるやつで、何かを捧げている。
それが常人にはわからないのだよ。

だから主人公もこう叫びたくなっちゃうわけね。

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この叫びは100%正しいと思うのよ。
世の中の才能ある人みんな、叫んでいいと思うよ。
不断の努力で成功したビジネスマンとかも、似たような感覚あるんじゃないかな。

どうでもいいけど、主人公のライバル役の二階堂は村山聖がモデルだと言われている。
あの『聖の青春』の人です。

www.book-select.com

そして『聖の青春』は本当に名作なので未読の人は是非ご一読いただきたい逸品。

女の内股に刺青。金田一シリーズでやや淫靡な中編。 横溝正史/スペードの女王

推理小説とか本当に読んでこなかったので、
今更なんですが、それだけ楽しみがあると思えば、世の中面白い本だらけ。

というわけで、今更シリーズですが、横溝正史の金田一シリーズ、
スペードの女王を読んでみた。
角川から金田一耕助ファイルっていうのが出ていて代表作が刊行されているっぽいのだけど、
上記には含まれない作品たちが金田一耕助シリーズってなって出ている。
後述するが、金田一耕助ファイルの番号は、事件や刊行の時系列にあっていないらしいので要注意。

他に読んでるのがアガサ・クリスティをちょっとかじったくらいなのでなんとも言えないのだけど、
すぐに読める中編としてよくまとまっていた印象。

他の作品がどうなのかは知らないけれど、
本作は女の内股に刺青されているというやや倒錯的なモチーフがあり、
全編を通じてやや淫靡な雰囲気。

これといって性的なシーンがある訳ではなく、文章から漂う色気みたいなものかな。

子供の頃、昼間に放送されていたのが怖くて、
この手のものがあまり好きではなくなってしまったのだけど、
今読むと普通に楽しめる。

探偵や刑事のイメージって面白いな、と思っていて、
どういう人物像(キャラクター)がみんなは好みなんだろう。

金田一はどこか一風変わった風変わりな人。でも難事件をたちどころに解決してしまう。
刑事コロンボは、一見、間の抜けた仕事のできない刑事、でも本当は恐ろしく優秀とか。
少年探偵団は一生懸命、ホームズやポワロは名士な感じ。

僕はコロンボタイプで間抜けに見えてとても賢いタイプが好き。

これを機に金田一シリーズも読みたいなと思ったけど、
Kindle金田一耕助ファイルって順番がバラバラらしい。

という訳で、序盤の順序はこうらしいので、順番に沿って読んでみるのも良いかも。

ちなみに作中である人物の死体が発見された日付が自分の誕生日だった!!という点も、
かなり印象に残った作品。

全集を端から読んでいくのを再開。42巻目だよ。 手塚治虫/新世界ルルー

新世界ルルーと黄金都市の2作品が収録。

新世界ルルーは、本人があとがきで、
モンテ・クリスト伯パラレルワールドを組み合わせたでっち上げと言っている作品。
確かに初期の頃の作品は今読むと辛い。
読んでも一瞬で忘却してしまうつまらなさ。。

新世界ルルー (手塚治虫文庫全集)

新世界ルルー (手塚治虫文庫全集)

新世界ルルー (手塚治虫漫画全集)

新世界ルルー (手塚治虫漫画全集)

まぁ、手塚治虫といえども今読んで面白くない作品はあるわけで、
ある程度は仕方ない。

どちらかというと黄金都市が面白かった。
空想の黄金都市について話しているんだけど、
実はそのお話はミツバチの生活をベースにしたお話だったというもの。

さすが医者、というか理系っぽいな、と思ったのでした。
虫や動物の生態を物語にしていくって今でも十分に通用しそうな手法だよね。