Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。 ウィリアム・アイリッシュ/幻の女

妻とは離婚したい、なのに妻は離婚だけはしてくれない。
その日も一緒に行くはずだったショーに向かう直前に喧嘩して、
最初に会った女性を誘うと言い放ち出て行く夫。

で、実際バーで出会った女性を誘い、食事をし、ショーを見て、
家に帰ると妻が死んでいる。ある意味ラッキー?と思いきや全員自分が犯人だと疑ってくる。

自分にはアリバイがあるはずなのに、行く先々で皆そんな女性はいなかったと証言され、
まるで自分が嘘をつき、気が狂ったかのように扱われる。

真実は、、、、どこに?

っていう何が本当なのかわからなくなる筋書き。

推理小説初心者でもグイグイ引き込まれるプロット。
物語の筋が良いと、細かいこと気にせずに楽しめるんだなぁ、というのが素直な感想。

それと、冒頭の名文で知られるように、
何かといけてる言い回しをするその文体にも魅力があればこそなのかもしれない。

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。

これだけ見るとちょっと狙いすぎで大味な感じもしないでもないけど、
この一節から始まる夜の雰囲気はすこぶる良かった。

実際、幻の女の魅力は気まぐれに一夜限りの関係を楽しむ謎めいた魅力があり、
それでもお互い一定の距離感を保って詮索しない感じが絶妙。

それなのに終盤再度見つかってからはちょっと魅力に欠けたな・・・。

前半戦に限って言えば、推理小説に出てくる魅力的な女性ランキングかなり上位な気がする。

密室に生首ごろりん、誰も入ってないって言ったじゃん、ていう話。 ジョン・ディクスン・カー/夜歩く

推理小説は初心者なので、いいも悪いもわからんのだけど、
楽しいかと言われれば拍子抜けって感じがしなくもない。

イラストのゴシックな雰囲気に惹かれて興味を持ったのだけど、
まぁなんというか、ディクスン・カーは怪奇な作風が特徴らしく、
確かに怪奇っちゃ怪奇であった。

で、バンコランシリーズの第1作だそうな。

バンコランというキャラクターも怜悧なキャラクターっぽいけれども、
目の前で部屋の出入りを見張ってるのに、その中で人死んでるんだから、
どっちかと言うと間抜け感あるけどな・・・。

生首落ちてる感じとか、ヤク中とか、
発狂とか、その辺が怪奇なのか。

怪奇とはなんなんだろう。

最初の殺人以外はおまけっぽい感じ。

まぁ推理小説初心者なのでよくわからんけど、
若干雰囲気のある謎解きパズルって感じだろうか。

それにしても、タイトルあんま関係ないよね。

まぁ、ついつい密室トリックとかが気になってしまうけれど、
この怪奇趣味というか、全編に漂う怪しげかつ凄惨なムードを楽しんだ方が良いのかな。

確かに雰囲気はある。

あと訳者のせいではなく多分原文がこうなんだろうね。
多少の読みづらさがあるけれど作家の文体なんだろうから致し方なし。

救いのない感じとか、狂気とかは嫌いじゃないけど、
どうしたってご都合主義に見えてしまうのよね、推理小説って。

それにしてもとある登場人物、ひたすら男に裏切られているみたいで悲惨。
まぁ、そういう騙されやすい人だったのかね・・・


ルブラン 南洋一郎/八つの犯罪

相変わらずルパン全集読んでる。

真夜中に野原に馬を走らせる小さな人影がある。強欲なおじ伯爵のやしきから逃げだした、孤独な美少女オルタンスだ。少女は青年公爵レニーヌにすくわれ、あれはてた古城でおそろしい秘密の真相を知る。古城の大時計が八時をうったとき、ふたりは約束した。オルタンスは公爵の助手となって、八つの事件を解決することを。

なんで助手にすんねん、というツッコミしか出ないのだけど、
ルパンはただの女たらしである。

友だちの友だち同士が会おうとするけど会えなくて気付いたら友だちヤキモチ妬いてるの ヘンリー・ジェイムズ/友だちの友だち

なんか気をぬくと頭に入ってこない文章なのだけど、
集中して読むとなんか妙な面白さがある感じ。

何が本当なのかよくわからないっていう作風。

この人の言っていることは本当?
いやそもそも本当のことって何だろう?

と、読んでてだんだんわからなくなってくる感じ。

表題作の友だちの友だちは
父親の幻を見た女性と母親の幻を見た男性が共通の知人を通じて
会おうとするのだけど、いつもなぜか会えない。

幻を見るっていうのは、親の死に際して、遠く離れた親が幻となって会いに来たって感じ。
あれ、こんなところにお父さんが、って思ったら消える。
翌日死んだことを知らされる、みたいな体験。

二人は会おうとするのだけど常に時間が合わなかったり、
すれ違ったりして会えない。

最後にようやく会えた時には、
男性の部屋に幻となって女性が現れるのでした。
ということは、、、、

しかしこういうこというと身も蓋もないけれど、
現代においてはこういう幻想ものはちょいと地味で退屈かもしれないね。

でもこのずっと会えない二人っていうのは面白いテーマよね。
君の名は、もそうだもんね。

友だちの友だち (バベルの図書館)

友だちの友だち (バベルの図書館)

タイトル通りどの話もうっすらと黒いベールがかかっているようなお話ばかり  レオン・ブロワ/薄気味わるい話

ちょっと皮肉でシニカルな短編集。

「煎じ薬」では、教会でつい母親の告解を聞いてしまう。
どうやら誰かに毒を盛ろうとしているらしいのだけどその相手は・・・
自分じゃーいって話。

「ロンジュモーの囚人たち」は街から出ようとすると、
怪我したり事故が起きたりしてどうしても街から出られない夫婦のお話。

「あんたの欲しいことは何でも」は、
娼婦に声をかけられた男性の話。
実はその娼婦は生き別れた姉で、
向こうはそれに気づくが、弟は気づけない。

どの話もうっすらと黒いベールがかかっているようなお話ばかりで結構好みである。


素直にドキドキ、ハラハラしながら読めば良い ルブラン 南洋一郎/8・1・3の謎

「8・1・3」と「APO ON」という謎のキーワード。
この秘密を巡る冒険活劇みたいな作品がこれ。

ルパンてお宝を鮮やかに盗み出す物語かと思いきや全く違う。

ルパンの偽物が出てきたり、
国際的な陰謀に巻き込まれながらも、
その計画自体を自分が乗っ取ろうとしたり、
娘の幸せ願う父親みたいなところがあったり・・・

あっさり毒もられて昏睡状態になりながら、
「私の肉体は東洋産のふしぎな解毒剤のおかげで、
どんな猛毒にもまけない力をそなえておりましたから、
ふつうの人間なら死ぬところを助かったのです(キリッ)」みたいに言うところは、
読者みんながお前死にかけてましたやん、助かったの医師の注射のおかげですやんと
総ツッコミを入れたに違いない。

とにかくキャラもエピソードもてんこ盛り。
とりわけこの813はてんこ盛り感がすごい。

もう謎の怪人、暗号の謎解き、ドイツ皇帝を脅して味方につけちゃったり、とやりたい放題。
意外な真犯人ってのもまぁ要するになんでもありなんだよね。

緻密なロジックとかそんなものはなくて、大胆にデフォルメされた荒唐無稽さも含めルパンの味なんだな。
変に頭を使わずに素直にドキドキ、ハラハラしながら読めば良いんだと思う。

いちいち目くじら立てて御都合主義だ、なんていうのはきっと野暮なんだと思われ。

ちなみに所々で出てくる柔道の使い手っぽい記述が笑える。
猛スピードで車走らせていたらトラックと衝突するんだけど、ルパンは傷一つ負わないのは、
柔道の受け身のおかげなんだろうな。

8・1・3の謎   怪盗ルパン全集 (3)

8・1・3の謎 怪盗ルパン全集 (3)

ルパンの物語は実在する世界で、実在する作家が、読者にお伝えしている物語。南洋一郎/怪盗紳士

ポプラ社のルパン全集第2巻。

怪盗ルパンが初めて登場した作品らしい。

「金髪で、右腕に傷あとがあり、変名の頭文字はR。怪盗ルパンが紛れこんでいるという知らせをうけた豪華客船の乗客たちは騒然となり…。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが初めて登場した作品。」

とのこと。


下船時に見事捕まってしまうのだが、
彼は囚われの身のまま、盗みをやってのける。

なんか惚れっぽいというか、人間臭さも感じたのでした。
作者のルブラン自身も、その後彼の活躍を語り継いでいく語り部として登場する。

つまりルパンの物語は実在する世界で、実在する作家が、
読者にお伝えしている体裁なのだね。

はてさて、このシリーズ全体像はどうなってるんだっけってのが気になってきた。