「8・1・3」と「APO ON」という謎のキーワード。
この秘密を巡る冒険活劇みたいな作品がこれ。
ルパンてお宝を鮮やかに盗み出す物語かと思いきや全く違う。
ルパンの偽物が出てきたり、
国際的な陰謀に巻き込まれながらも、
その計画自体を自分が乗っ取ろうとしたり、
娘の幸せ願う父親みたいなところがあったり・・・
あっさり毒もられて昏睡状態になりながら、
「私の肉体は東洋産のふしぎな解毒剤のおかげで、
どんな猛毒にもまけない力をそなえておりましたから、
ふつうの人間なら死ぬところを助かったのです(キリッ)」みたいに言うところは、
読者みんながお前死にかけてましたやん、助かったの医師の注射のおかげですやんと
総ツッコミを入れたに違いない。
とにかくキャラもエピソードもてんこ盛り。
とりわけこの813はてんこ盛り感がすごい。
もう謎の怪人、暗号の謎解き、ドイツ皇帝を脅して味方につけちゃったり、とやりたい放題。
意外な真犯人ってのもまぁ要するになんでもありなんだよね。
緻密なロジックとかそんなものはなくて、大胆にデフォルメされた荒唐無稽さも含めルパンの味なんだな。
変に頭を使わずに素直にドキドキ、ハラハラしながら読めば良いんだと思う。
いちいち目くじら立てて御都合主義だ、なんていうのはきっと野暮なんだと思われ。
ちなみに所々で出てくる柔道の使い手っぽい記述が笑える。
猛スピードで車走らせていたらトラックと衝突するんだけど、ルパンは傷一つ負わないのは、
柔道の受け身のおかげなんだろうな。
([る]1-3)8・1・3の謎 怪盗ルパン全集シリーズ(3) (ポプラ文庫クラシック)
- 作者:モーリス ルブラン,南 洋一郎,Maurice Leblanc
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2009/12/24
- メディア: 文庫