妻とは離婚したい、なのに妻は離婚だけはしてくれない。
その日も一緒に行くはずだったショーに向かう直前に喧嘩して、
最初に会った女性を誘うと言い放ち出て行く夫。
で、実際バーで出会った女性を誘い、食事をし、ショーを見て、
家に帰ると妻が死んでいる。ある意味ラッキー?と思いきや全員自分が犯人だと疑ってくる。
自分にはアリバイがあるはずなのに、行く先々で皆そんな女性はいなかったと証言され、
まるで自分が嘘をつき、気が狂ったかのように扱われる。
真実は、、、、どこに?
っていう何が本当なのかわからなくなる筋書き。
推理小説初心者でもグイグイ引き込まれるプロット。
物語の筋が良いと、細かいこと気にせずに楽しめるんだなぁ、というのが素直な感想。
それと、冒頭の名文で知られるように、
何かといけてる言い回しをするその文体にも魅力があればこそなのかもしれない。
夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。
これだけ見るとちょっと狙いすぎで大味な感じもしないでもないけど、
この一節から始まる夜の雰囲気はすこぶる良かった。
実際、幻の女の魅力は気まぐれに一夜限りの関係を楽しむ謎めいた魅力があり、
それでもお互い一定の距離感を保って詮索しない感じが絶妙。
それなのに終盤再度見つかってからはちょっと魅力に欠けたな・・・。
前半戦に限って言えば、推理小説に出てくる魅力的な女性ランキングかなり上位な気がする。
- 作者:ウイリアム アイリッシュ,William Irish
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 文庫
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