Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

悪党を助けようとする主人公の偽善を冷たく指弾する博士が最高。R・オースティン・フリーマン/キャッツアイ

北条司の怪盗3姉妹ではなくて、 英国のミステリ、往年の名作らしい。科学者であるソーンダイク博士が謎を解き明かして行くのだけど、 途中、冒険小説っぽくもなる。敵地で毒殺されそうになったり、危機一髪な感じ。自分たちが回避した罠に敵がハマって死ぬ…

夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。 ウィリアム・アイリッシュ/幻の女

妻とは離婚したい、なのに妻は離婚だけはしてくれない。 その日も一緒に行くはずだったショーに向かう直前に喧嘩して、 最初に会った女性を誘うと言い放ち出て行く夫。で、実際バーで出会った女性を誘い、食事をし、ショーを見て、 家に帰ると妻が死んでいる…

密室に生首ごろりん、誰も入ってないって言ったじゃん、ていう話。 ジョン・ディクスン・カー/夜歩く

推理小説は初心者なので、いいも悪いもわからんのだけど、 楽しいかと言われれば拍子抜けって感じがしなくもない。イラストのゴシックな雰囲気に惹かれて興味を持ったのだけど、 まぁなんというか、ディクスン・カーは怪奇な作風が特徴らしく、 確かに怪奇っ…

ルブラン 南洋一郎/八つの犯罪

相変わらずルパン全集読んでる。 真夜中に野原に馬を走らせる小さな人影がある。強欲なおじ伯爵のやしきから逃げだした、孤独な美少女オルタンスだ。少女は青年公爵レニーヌにすくわれ、あれはてた古城でおそろしい秘密の真相を知る。古城の大時計が八時をう…

友だちの友だち同士が会おうとするけど会えなくて気付いたら友だちヤキモチ妬いてるの ヘンリー・ジェイムズ/友だちの友だち

なんか気をぬくと頭に入ってこない文章なのだけど、 集中して読むとなんか妙な面白さがある感じ。何が本当なのかよくわからないっていう作風。この人の言っていることは本当? いやそもそも本当のことって何だろう?と、読んでてだんだんわからなくなってく…

タイトル通りどの話もうっすらと黒いベールがかかっているようなお話ばかり  レオン・ブロワ/薄気味わるい話

ちょっと皮肉でシニカルな短編集。「煎じ薬」では、教会でつい母親の告解を聞いてしまう。 どうやら誰かに毒を盛ろうとしているらしいのだけどその相手は・・・ 自分じゃーいって話。「ロンジュモーの囚人たち」は街から出ようとすると、 怪我したり事故が起…

素直にドキドキ、ハラハラしながら読めば良い ルブラン 南洋一郎/8・1・3の謎

「8・1・3」と「APO ON」という謎のキーワード。 この秘密を巡る冒険活劇みたいな作品がこれ。ルパンてお宝を鮮やかに盗み出す物語かと思いきや全く違う。ルパンの偽物が出てきたり、 国際的な陰謀に巻き込まれながらも、 その計画自体を自分が乗っ取ろうと…

ルパンの物語は実在する世界で、実在する作家が、読者にお伝えしている物語。南洋一郎/怪盗紳士

ポプラ社のルパン全集第2巻。怪盗ルパンが初めて登場した作品らしい。「金髪で、右腕に傷あとがあり、変名の頭文字はR。怪盗ルパンが紛れこんでいるという知らせをうけた豪華客船の乗客たちは騒然となり…。怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが初めて登場した作品。…

ロスチャイルド家を飛び出して自由に生きた女性の物語 ハナ・ロスチャイルド/パノニカ

ジャズのパトロン、ニカ男爵夫人。チャーリー・パーカーは彼女のホテルの部屋で死んだし、 セロニアス・モンクの個人的なパトロンとしても活動していた。そんなニカは実はロスチャイルド家のご令嬢。でも男性相続で女性はかなり飾りとしての人生を強いられる…

他者との関係は上滑りを続けながら、人はそれぞれの人生を生きる。 絲山秋子/御社のチャラ男

しがない食品会社の三芳部長は、縁故入社のチャラ男。そのチャラ男を軸にしつつ、一人一人の会社のメンバーをフォーカスしていく群像劇。ある出来事も、立場変われば違って見えたり、 それぞれの立場での考えや意図が少しずつずれてすれ違っている様を巧妙に…

肉体は物質ではなく時間。 グスタフ・マイリンク/ナペルス枢機卿 バベルの図書館 12

オーストリアの小説家、『ゴーレム』や『緑の顔』といった幻想小説が代表作。 しかしいまいちすんなり入って来なかった・・・ 私たちは時間で出来た構成物なのであり、肉体とは、物質であるかのようにみえて、流れ去っていった時間以外のなにものでもないの…

色々な喪失とその余韻に文学感じちゃう短編集 ハーラン・エリスン/愛なんてセックスの書き間違い

SF素人なのでハーラン・エリスンがSF界でどんだけのもんなのかは知らない。 結構すごいらしいけど。で、これはそんなエリスンの非SFの作品を集めた短編集。タイトルがかっこいいよね。 愛なんてセックスの書き間違い (未来の文学)作者:ハーラン・エリスン出…

綺麗事で済まさない、人の弱さや醜さもしっかり描くファンタジー。 小野不由美/十二国記

年末からただひたすらに十二国記を読み耽っていました。 18年ぶりの新作が刊行されたと話題だったのだけど、 これまで何度か気になりつつ見送ってきた自分としては今こそ着手する時かな、と。ファンタジーというのはここではない別の世界へ行って戻ってくる…