Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

気楽に読める可もなく不可もない作品。 なかざき冬/えとせとら

じいちゃんから受け継いだ謎の銃は、動物のエキスをつけると
干支にちなんだ弾が出る摩訶不思議な銃。

その謎の銃エトガンをめぐる物語。
途中で12星座にちなんだ星座銃(ゾディアック)っていう銃も出てくる。

だけど、合わせて24種類の弾が活躍した記憶はないな。。。
みんな出番あったのかな。。

ちなみに干支のくせに舞台はアメリカ。
麻薬を扱う悪の組織と戦うっていうなんだか非常に現実的な設定もあったりする。

干支が絡む作品だから『えとせとら』なんだろうけど、
なんかこのテキトーな感じが良いよね。

月刊少年マガジンに連載されていたらしい。

うむ、他に特に書くことがない可もなく不可もない作品。

法で裁けぬ悪を裁くワイルドな警察のお話。 望月三起也/ワイルド7

2016年に作者は亡くなっていて、
その後Kindleで投げ売られているのをよく見かけていて、
安いタイミングで買っておいたもの。

愛蔵版を分冊にした全50冊が出ていたのだけど、
なぜかこれを書いている時点ではAmazonからは落ちているみたい。
Kindleのラインナップって突然消えたりするからよくわからん。

一言で言えばハードボイルドな警察もので往年の名作って感じ。
ワイルド7は死刑囚で構成された警察内の秘密部隊、
法で裁けぬ悪を裁くワイルドな部隊だ。

バイクに乗って縦横無尽に駆け巡り、
悪党には容赦なくぶっ放す。

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なんと、すさまじい・・・・・・、まさにワイルド!

ハードボイルドでバイオレンスなんだけど、
この手のものにありがちなお色気シーンはほぼなし。
暴力描写はあるものの、あくまでも子供向け作品ってことなのかしら。

風体はただのチンピラにしか見えない7人なのだけど、
それぞれバックグラウンドが違って特技があったりもする。
もう少し7人の特技を明確にして組み合わせられると面白いんだけど
どうしても主人公の飛場ちゃんが活躍する話になりがちなのよね。

でも俺はヘボピーが好きだよ。
人一倍体がでかいヒッピー風の兄ちゃんなんだけど、
なんかいいやつなんだよね。
悪い女にコロッと騙されでお人好しのブタだよあんたは!!って
罵られるシーンはお気に入りの名シーン。

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もう、この台詞のコマをLINEのスタンプにしたいくらい。

さすがに古い作品なので退屈なところも多いけど、
ワイルド7っていう物語の「型」はいつまでも有効な気がする。
この型にはめれば続編はいくらでも作れるだろうし、
もっと面白くもできるはず。

実際、続編とかもたくさんあるみたいだし、映像化されてたりもする。

続・新ワイルド7 - 野獣の紋章

続・新ワイルド7 - 野獣の紋章

ワイルド7 R (マンサンコミックス)

ワイルド7 R (マンサンコミックス)

W7 新世紀ワイルド7

W7 新世紀ワイルド7

もう関連作品多すぎてわけわからん感じではあるけれど、
面白くなりそうな予感がするから他のもちょっと読んでみたいんだよね。

読んだら本当に誰もいなくなってた。 アガサ・クリスティー/そして誰もいなくなった

アガサ・クリスティーの代表作。
読んだことなくても名前は聞いたことがあるような有名作品。

まぁ、きっと誰もいなくなるんだろうな程度に思っていたわけなんだけど、
孤島に招待された客全てが謎の死を遂げていくミステリー。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

犯人はこの中にいるっていう状況で、順番に死んでいく。
次は誰が死ぬんだ、っていう緊張感はなかなかのもの。

最後は犯人の独白でその手口が明かされるんだけど、
まぁそこら辺は突っ込もうと思えばツッコミどころは満載なんだろうね。

脛に傷持つ者同士が集まり、疑心暗鬼になっていく。
処女作の『スタイルズ荘の怪事件』が読者に犯人を犯人じゃないと思いこませる小説だとするなら、
こちらはこいつが犯人かも、と思わせてはその人たちが死んでいく物語。

ここに招待されなければ、皆それぞれが平穏な日々を送っていたのだろうけれど、
そんな人たちも化けの皮一枚剥いだら後ろ暗い狂気が潜んでる。
もっと各人のエピソードに寄って書いても面白くなりそうな気がした。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ビジネス書がマンガになったような作品。社会人向けビジネス漫画って市場はもっと伸びそうだよね。三田紀房/インベスターZ

三田紀房のマンガ、実は初めて読みました。
ドラゴン桜』とか話題になってたから知ってはいたけど、
この人のマンガってマンガなんだけどビジネス書ちっくな印象が強くて、
いまいち触手が伸びなかったのだけど、
読んでみたらほんとによくできたビジネス書的なマンガだった。

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

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まぁ、世の中には少なからず活字を敬遠する層というのはいるもので、
というか、読まない人の方が圧倒的に多いんだろうから、
マンガでアプローチするというのは一定のニーズはあるんだろうな。

インベスターZは学生が投資する話なので、
まさにビジネス書的な内容をマンガで表現している作品。

そういう意味では、これって『マンガ日本の歴史』とかと同様の系譜だよな。
マンガになると抵抗感が減って、読みやすくなる。

マンガだからってレベルが低いわけじゃなくて、
内容はしっかりしている。
むしろビジネススクールケーススタディで出てくるような企業が
普通にたくさん出てくるので取材力もすごいなぁ、と感心。

逆にこの人にもっとインプットしたらすごく面白いアウトプットが出てくるんじゃなかろうか。
MBAをマンガで、なんての描いたら結構面白いのができそう。。

ちなみに、この人もコルクがマネジメントしてる。
SNSで社長の佐渡島さんが右肩上がりポーズで写真撮ってるのをみたけど、
元ネタはこの作品なんだね。

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とりあえず、お金のことがさっぱりわからない嫁さんに読ませてみようと思いました。
下手な本読むよりよっぽど良いんじゃないかな。

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

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夫婦とか家族とか、兄弟とか親子とか、色んな人たちが更生していく物語。 毛利甚八、魚戸おさむ/家裁の人

子供のころ父親が、この作品のドラマを見ていた。
マンガもまだ連載中で、確か片岡鶴太郎が主演で・・・
そんなおぼろげな記憶となんだかとてもいい話の作品という印象が残っていて、
ちゃんと読んでみようと思って買ってみた次第。

家庭裁判所の判事が主人公で、遺産相続での揉め事とか、離婚協議とか、少年犯罪とか
色々な事件が出て来る。
事件を通じて、夫婦とか家族とか、兄弟とか親子とか、いろんな人たちの更生を描いてる。
毎回考えさせられながらほっこりするヒューマンドラマ。



もともと全15巻で、しばらくは1話完結型で進む。
ちょっと短過ぎて食い足りないことも多い感じなのだけど、
10巻程度から?複数回使って1つの物語が語られるようになり、
そこからものすごく面白くなる。

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まぁ少年とはいえ罪は罪なのだろうけど、
「どんなに長い処分を与えても、少年は社会に戻って来るんです。誰かの隣に住むんですよ。」
「その時・・・・・・その少年が、笑って暮らしている可能性を探すのが、裁判官の仕事なんじゃないんですか」

この話って、実は12巻でも回想シーンで語られていて、
本書のテーマとしてとても重要。

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罪に対して罰を与えるだけでは必ずしも人は更生しない。
行動の裏には理由があるわけで。

色々話はあるけれど、白眉は石嶺というクールに、事務的にこなそうとする判事が、
売春した少女の事件を通じて自ら変わっていく話。
これが本当に良い話なんだなぁ。
主人公桑田の思いが描かれる下のようなシーンもあるし。

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石嶺判事が少女から貰った手紙を読んで号泣するシーンは、
この作品随一の名シーンだし、号泣する姿それ自体を直接には描かないマンガ表現としても秀逸。

いやはや、名作です。

優秀な検事というのはコミュニケーション力の塊みたいな人なんだなぁ 大澤孝征/元検事が明かす「口の割らせ方」

人生、30も半ばを過ぎてくると、自分の一生の中で、まず体験することはないだろうということは見えてくる。
例えばこれから司法試験受けて弁護士とか検事になるとかはまずないだろうな、と思うわけ。

そんな自分が体験しないであろう世界のことを読んでみるのも読書の愉しみと言えましょう。

本書は元検事の大澤孝征さんが書いた検事時代のエピソード集。
検事の取り調べなんてドラマでの「さぁ、吐け」みたいなイメージしかないけれど
実際はそんなことで自白が取れるわけではないわけで。

結局、優秀な検事というのはコミュニケーション力の塊みたいな人なんだなぁ、というのが素直な感想で、
本書は普通の人の普通の生活の中でも有効なコミュニケーション術の本でもある。

元検事が明かす「口の割らせ方」(小学館新書)

元検事が明かす「口の割らせ方」(小学館新書)

それでもやっぱり面白いのは検事時代の各種エピソードだろう。
刑務所では犯した罪によって暗黙のヒエラルキーがあるという話、
なんとなく何かで見聞きしたことはあったけれど、実際にあるのね、とも思うし、
それはヤクザが泣きを入れるほどある種の厳格さを持っているというのは面白い。

自分は強姦なんかしていないとさんざん騒いで否認を続けた後、男は何と泣きを入れてきたのです。 「検事さん、強姦だけは勘弁してください、ハジキでも覚醒剤でも何でも出しますから」  男が話したところによれば、刑務所の中には序列があるのだそうです。殺人などの大罪を犯した者は一目置かれ、ヤクザも、自分のためではなく組のために罪を犯したということで扱いは上になる。そんな中で、一番下に見られるのは性犯罪者です。特に強姦で捕まった者は、刑務所に入ると、軽蔑されていじめられるのだそうです。しかもヤクザのくせに強姦なんてしたら、いじめられるに決まっている。また出所後も、ヤクザとして男を張って生きられなくなる。「検事さん、何とかしてください」と、最後には泣き落としで私にすがってきたのです。

当たり前のことだが犯罪者も人であり、人である以上、承認欲求やメンツを守りたいというプライドを
持っているわけで、そういった心理をうまく衝いたコミュニケーションが検事の取り調べなんだな。

そして、朴訥な夫婦が繰り広げる法廷での愛の物語はすげー面白かった。
まさかこういう展開になるとはその場にいた誰も予想だにしなかっただろうな。

検事に加え、裁判官までが厳しく追及してきます。
「奥さん。こんな事件を繰り返す旦那さんは、女として許せないとは思いませんか?」
「はい」
「はっきり言って、人でなしですよね」
「そうですね」
「あなたは旦那が戻ってきたら監督すると言っていますけど、こんな人にはいつか愛想が尽きるんじゃないですか? 監督すると言ったって無理でしょう」
「いえ、私がきちんと監督します」
「なぜですか。なぜ、あなたはこんな人を監督できると言い切れるんですか」
 裁判官にそう言われた彼女はつと顔を上げ、とっさに何と叫んだか。それは私にも予想できない言葉でした。
「好きだからです!」  
五十代の女性の、そのまっすぐな言葉に裁判官も検事も一瞬、言葉を失いました。しかし、裁判官はなおも食い下がります。
「では、あなたが監督していて、旦那さんが再びこんな事件を起こしたらどうしますか」
 こういうとき、普通は「離婚します」とか、「そのときには見放します」と答える人が多いのです。
でも、彼女は真剣な顔をして、こう言いました。

「私も刑務所に入ります、一緒に!」

事実は小説よりも奇なり。

元検事が明かす「口の割らせ方」(小学館新書)

元検事が明かす「口の割らせ方」(小学館新書)

乳首が見えたり見えなかったりする王道バトル漫画 松江名俊/史上最強の弟子ケンイチ

全61巻というなかなかのボリューム。
週刊少年サンデーで長らく連載されていた名作。

武術を極めた者が集う梁山泊の5人の達人に鍛えられたから「史上最強の弟子」という設定。
師匠はとにかく人間離れした強さで、無茶な修行をこなしていくうちに
ケンイチも強くなっていく。

ケンイチ自身が才能に溢れた天才ではなくて、
むしろ才能のない平凡な少年というのも重要なポイント。
彼は修行や戦いを通じて成長していくのであって、不断の努力なくしては成立しない。

そう考えると、ジャンプよりもジャンプらしい友情・努力・勝利の漫画と言えるかも。

敵の強さがどんどんインフレしていくのも少年漫画のお約束ではあるけれど、
他の強さのインフレ漫画と違うのは、師匠クラスの強さが絶対であるという
お約束だけは終始守られていたところ。

そういう意味ではそんなにインフレしてないんだよね。
あの師匠が、こんなに簡単にやられちゃうなんて、っていうやり方をしていたら
収集つかないほどのインフレが起きて物語も破綻していた気がする。
そこをぐっと堪え続けたのは1つの特徴なんだろうな。

まぁそれでも終盤、八煌断罪刃とか出てきた時にはさすがに萎えたな・・・
結局扱いも雑にならざるを得ない感じだったし。。

それと、この漫画のもう一つの特徴はお色気要素も担当していた漫画だということ。
王道バトルもの少年漫画かつお色気も担当ってのがサンデーっぽい。
ジャンプなら王道バトルは王道バトルで、お色気はお色気担当作品が担う感じがするけど。

ヒロインは無駄に胸が大きくて、レオタード姿で戦う。
当然女性キャラの服は戦ってるうちに破けていくお約束。
で、お約束といえばどんなに服が破けても乳首は見えないはずなんだけど、
この作品では乳首見えたり見えなかったりする。

この見えたり見えなかったりが、法則があるようでないのが気になる。

例えば・・・

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普通に戦ってる時に服が破けまくっても、乳首は見えない。
これ、お約束。

でも、、、

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なんか必殺技出してるっぽい時は乳首出てる。
これはなんつーか人そのものを描いているというよりは技のイメージを
描いているから、という解釈なのだろうか、とか勝手に推測しちゃう。。

そうかと思うと、ヒロインは大抵透けてる。

これも直接乳首を描いているんじゃなくて、
あくまでも密着しているレオタードの形状を正しく描いただけ、という解釈なのだろうか、、、とか。
とにかく服着せとけばいいって事になったのかはわからんけどヒロインは
とにかく過剰に透けまくってる。
そして戦いで服が破けると恥ずかしがるのに、透けてる事には一切の恥じらいがないのも
この作品の面白設定の1つ。

じゃあ直接人の乳首を描かないかというとそうでもなくて、
たまにちゃんと描いてる。
だからあんまり法則性があるわけでもなく、気分とか
描き込める時間の問題だったのかな、とか
各話のお色気要素のバランスの問題だったり、
色々事情があったのかもしれない。

なので、これから一気読みする人は是非ともケンイチにおける
乳首描写の有無に思いを馳せながら読むとまた違った楽しみ方ができるのではないか。