Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

桂正和の描くかわいい女の子が見たいという読者のニーズを満たしてる長編。 桂正和/I's

桂正和の作品を立て続けに読んでるのだけど、
『I's』はなんつーかいわゆるラブコメ

絵がかわいいという才能が突出していると思うのだけど、
それ以外は普通だなぁ、というのが率直な感想。

この作品は王道のラブコメって感じで、憧れの美女とのすれ違いをひたすら描いて、
くっついた後は彼女が芸能界でのお仕事で、彼氏が浪人というすれ違いを描く。

まぁ、ラブコメは相思相愛なのに、
お互い自分の気持ちを告げられず、くっつきそうなのにくっつかない、っていう
ひたすらすれ違わせる物語なわけだけど、そのすれ違いを描くってのが
異様に発達したせいでまぁ大抵ありえないよねっていう展開になってしまう。

そこで告白しないとか意味わからん、手出さないの意味わからん、
相手のことを思って身を引くみたいなのもよくわからん、と
冷静に見ると全くもって理解しがたい話ばかりなのだけど、
ブコメってそういうもの、みたいになっとるよね。

日本のラブコメは大抵男性主人公がありえんくらい優柔不断で、
誰にでも優しくて余計なことに首突っ込む。
で、誤解されてトラブって、和解して、、、とかそんなことの繰り返しなので
正直ストーリーとしての面白みはあんまりない。

まぁ、それをどうこう言っても仕方ないのかもしれないが、
それでも桂正和の作品が頭一つ抜きん出るのは画力なんだな。

結局、かわいいは正義なのだ。
読者は桂正和の描くかわいい女の子が見たいんだよね。

もっと絵が下手くそな作家が書いてたら15巻も続かなかっただろうな、この作品。

オナラなんかじゃキミのステキは翳らない 桂正和/D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~

30代男子にとってジャンプの美少女*お色気担当として
強烈な印象を刻みつけているのが桂正和

電影少女やI's、そしてこのDNAと一時代を築いたことは間違いない。

気がつけば主人公たちはびっくりするくらい年下。
改めておっさんになった今読んでみると、
あぁ、こういう話だったのね、なんて思うことしきり。
そう、別に桂正和=エロだけじゃないのである。

この作品は主人公が怒って変化するシーンがなんとなくスーパーサイヤ人ぽかったりするわけで、
怒って強くなる=髪逆立って白、みたいな強烈なイメージを植え付けた鳥山明って
凄いななんてことも思ったりする。

f:id:digima:20161103182502p:plain

ま、そんな話はさておき、一番の名台詞はこれだと思う。

ジャンプに連載されていた伝説のギャグマンガ。 木多康昭/幕張

ジャンプコミックスは中古市場でもなかなか品薄だったけれど、
電子化されていつでも、誰でも読めるように。
こういう所は電子化ってのは素晴らしいね。

幕張 1 (highstone comic)

幕張 1 (highstone comic)

で、何が伝説のギャグマンガなのかというと、
とにかくこの人は内輪をネタにしまくる。
少々やり過ぎなくらい他の作家とか担当編集をネタにしまくる。
ここまで思いっきりいじり倒す人も珍しいし、
ネタも本人及び本人を知る人たちにとっては笑っていいものなのかどうか・・・。

例えば、当時担当編集だった瓶子さん。

f:id:digima:20161103180913p:plain

いろいろと暴露されている・・・。
いや、もちろんフィクションのはずではありますが。。

ちなみにこの人、最近だとバクマンにも出てきてますし、
今やジャンプの編集長!

他にも当時のジャンプ連載陣の先生をネタにしたりとかも。
結局この電子化も集英社関係なさそうなんだけど、
やっぱり関係は悪いのかな。。

幕張 1 (highstone comic)

幕張 1 (highstone comic)

人攫いが仕事の集団が主人公だけど、活劇にはしない辺りがミソ。 オノ・ナツメ/さらい屋五葉

タイトルにさらい屋とあるように人攫い、拐かしを生業とする5人組の物語。
主人公は冴えないお侍さんでひょんなことから巻き込まれていくのだけど、
いわゆるピカレスクものに見えてちょっと違う。

単純なピカレスクものであれば、人をさらうなり、なんなり、
悪いことしてる活劇っぽい部分が見せ場になるはずなんだけど、
この作品ではそう言った活劇っぽいところはほとんど描かれない。

この作品が描くのは五葉のメンバーそれぞれの過去であり、
こじらせた人間同士の人間関係だったり、
そこに主人公が絡んでくることでの変化であったり。

で、その中でも一番こじらせてるのが頭領の弥一であり、
次第に主人公の冴えないお侍さんと弥一の物語になってくる。
そんな感じのお話だからやっぱり随所に腐女子を萌えさせるBL的な要素もちらほら。

絵の雰囲気も時代劇とあってる気がするし、雰囲気だけの作品ってわけでもなくまとまってるし、
地味だけど良い作品だったな。

でも、このメンバーがバリバリ活躍しまくるわかりやすーい活劇も見てみたい気がする。
難しいこと抜きにした単純な話をこの洒落た絵で書いても人気出る気がするんだけどな。

当初注目していた漫画読みは多いと思うのだけど、なんか違うんだよなー。 ふみふみこ/ぼくらのへんたい

コミックスが刊行された当初はなんだか凄そうなのが来たぞ!という感じで大注目だった作品。

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

なんてたってなんだかそれぞれの事情で女装している男子3人が主人公っていうとんがった設定。
男同士の同性愛もの?女装しているからある意味百合?トランスジェンダー的な話?男の娘?

f:id:digima:20161010220633p:plain

3者3様のエピソードに一体どうなるのか楽しみだったのだけど、
完結して一気読みしてみた感想はなんか思ってたんとちがーうって感じ。


そもそも4巻から表紙の雰囲気もガラッと変わるしなんだかなぁ、という感じ。
結局この3人の間で妙な恋愛話が巻き起こってきて、
それはそれで倒錯してるんだろうけど、あんまり面白くない。

なんか途中で歯ごたえなくなっちゃったなぁ、という印象。。

というわけで、こんな愚にもつかない言いっ放しな感想で終わりなのだが、
それでもこうしてなんか書いとかないと忘れちゃうのよね。

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

親子丼だよ、人生は。 西炯子/なかじまなかじま

主人公は地味な女子大生。
素材はいいけど地味、みたいなやつ。

で、陸上が好きで高校のスター選手のなかじま君のファン。

で、映画のエキストラをやってたら有名な映画監督であるなかじま監督に見初められる。

だから『なかじまなかじま』

で、期せずして突然、年下からも年上からもモテモテ。
それまで地味な人生だったのが一転モテモテになる。
そんなん現実ではまずないわけだが、
これはある種の妄想であり欲望なのだから読者もそれを楽しめばよろしい。

西炯子の漫画の中において、女は求められる方。
奔放な男キャラに振り回されて大変、みたいな話も、
結局そういう男に惚れられていて、結果振り回されているのだから、
結局は求められる女の構図。

まぁ、これって女性にとってのある種の夢なんだろう。
いつか王子様が、的な。

だから読んでいて西炯子はとても素直な人だと感じる。
欲望に素直で身も蓋もないことを平然と言ってのけるタイプ。

4コマ漫画の方がこの人の本性が色濃く出ている気がしていて、
一緒に読んだ『ひとりで生きるモン!』なんかは西炯子の偏屈な素直さが漂っている。

ひとりで生きるモン! (Charaコミックス)

ひとりで生きるモン! (Charaコミックス)

というわけで、旧作も読みたくなってきたなぁ。

普通におもしろい出産特化型医療漫画。 鈴の木ユウ/コウノドリ

出産って大変なことなんだよね、母子ともに健康って
それだけで有り難いことなんだよね、っていうお話が
手を替え品を替え描かれる出産に特化した医療漫画。

[asin:B01HFV3GF2:detail]

これから母になる人、父になる人、とかは読んでみると
色々と知識もついて良いんだろうけど、
嫁さんが夢中になってて、あんたも読みなさい的なノリで来られるとめんどくさい。

正直それでとっつきにくくなってしまったけれど、作品は何も悪くないわけで。
医療漫画として普通に面白いし、過剰なお涙頂戴にもなってないし、知識も得られる。

出産て変な迷信じみた情報とかも未だにたくさんあるから、
科学的な知識に触れる機会はどんな形であれあった方がいいんだろうなぁ。
でも、知れば知るほど過剰な心配にも繋がりそうだから、
結果的に知らぬが仏ってこともありそう。
心配って心理的な負担は大きいくせに大して役に立たない無駄の塊だから。


[asin:B01HFV3GF2:detail]