筒井康隆の処女長編。
作家のシニカルな魅力がちゃんと詰まってる。
やっぱり処女作って作家性が色濃く出てくるんだな。
で、本作は誰もがテレビに夢中な世界。
テレビに出ることを夢見ていて、テレビに振り回されている。
街の至る所にカメラが仕込まれていて、
皆、そのカメラを意識して、ウケを狙って生活しているっていう設定。
- 作者: 筒井康隆,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 2014/11/30
- メディア: 単行本
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- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09/20
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カメラが仕込まれている世界というと、監視カメラをイメージする。
それこそ『1984』のビッグブラザーのような世界。
- 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: 文庫
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でも、これは監視されているというより、自ら望んでカメラに映ろうとする世界。
その逆転の発想が面白い。
でも要するにそれって他者の視線、他者からの評価を気にして振る舞う世界のカリカチュアであり、
そのテーマの有効性は今なお続いていると言える。
むしろ、SNSの普及など世界は益々この小説の世界に近づいているかもね。
人からどう見えるか、人にどう思われるか、そんなことばっか考えて生きてる姿は、
この小説内でテレビに振り回される人々たちと同じくらい滑稽で哀しい存在ということだな。
- 作者: 筒井康隆,日下三蔵
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