Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

ジャンプのスポーツ漫画なのに、意外と努力を正面から描かないんだよね。 許斐剛/テニスの王子様

ずっと気になってたけど、読んでなかった。
テニスとかやってないし、別にいいかなって。
でも腐女子が騒ぐ名作、何が彼女たちを腐らせたのか、とか興味は惹かれる・・・。
というわけで、休みを利用して一気読み。

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テニスの王子様 全42巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

テニスの王子様 全42巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

言わずと知れた週刊少年ジャンプの人気連載で、
テニスのお話なんだけど、終盤必殺技が凄すぎて
一体何の競技なのかよくわからなくなるところが1つの見所。

特に波動球のとんでもなさが群を抜いている。
なんかもう、波動拳より強そう。
とにかく強烈な打球ってことらしいのだけど、
この強烈さが終盤いきなりインフレ化してとんでもないことになる。
食らった人がどうなるのか端的に表しているのがこのカット。

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客席に、吹っ飛んで、爆発が起きている・・・
もう一体こいつら何をしているのか・・・。
テニスとはかくも厳しいスポーツだったのか・・・。
これって、客席に座っている方も命がけじゃないか。
テニスを見に行く人は命知らずってことなのだろうか。

そんな人間離れした波動球対決も終結するんだが、勝った方もこんな状態。

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テニスっておっかない。
ちなみに負けた方は腕が折れています。
テニスおっかない。

そんなおもしろシーンの他にも気になったのは、
週刊少年ジャンプの作品なのだけど、友情、努力、勝利、の「努力」要素が
そのままストレートに書かれないところ。

他の漫画って強くなるための修行パートみたいなものがあって、
あくまでもそれを経て強くなる。
もちろんこの作品でもそういう努力はあったことにされるのだけど、
基本的に努力フェーズは詳しく描かれない。

試合になって、秘めた力が発揮されて、ぬをーーーってなって、
実は血の滲むような努力してました〜みたいなノリ。

そういう努力の描き方がちょっと違うところが新鮮だったし、
テンポも良かったように思うんだけど、
テンポ良すぎて飽きるってこともあるんだな、とも思った。

正直これ以上は結構きついなぁってところで終わった印象。
常に努力フェーズ無しでインフレしていく敵との戦いに臨んでいくから、
テンポはいい反面薄っぺらい感じにもなるんだと思われる。

終盤、ちょっとだけ修行っぽい話が描かれるけど、
やっぱりそういうの得意じゃないのかもしれない。
突然記憶失うとか意味わからんし・・・
余計なことしないで普通にやればよかったのにあの迷走はなんだったんだろう。

ちなみに続編も出ているみたいなので、
いつか読んでみたい。

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でもキャラの立ちっぷりはとてもすごい。
結局キャラ立ちってものすごく重要だよね。
それがテニミュとか、様々な展開が成功した要因なんだろうな。
マンガはキャラ命。

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テニスの王子様 全42巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

テニスの王子様 全42巻 完結セット (ジャンプ・コミックス)

書き続けられるってのは才能だよな、つまんなくても。次作に期待。 高橋留美子/犬夜叉

高橋留美子といえば、小学館の大御所。
あだち充高橋留美子かっていうくらい、
パッと見て誰の絵かわかる人。

で、連載も結構長く続く。
でも、いまいちちゃんと読んでない。

だから、『犬夜叉』読んでみようと思ったわけ。

犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)

犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)

なんてったって、全56巻だからね。
そんだけ続いたってことはそれなりに面白いのかなって期待してたのだけど、、、
ダメだ、さっぱり面白くない。。

らんま1/2』もそんなにハマらなかったのであまり合わないのかもしんない。
あれ、結構女の子の方が好きって人多いよね。

でも、この人は『めぞん一刻』っていう超名作を書いた人。
あのラストにかけての盛り上がりは半端ない。
途中つまんなくても絶対に最後まで読めと言われて読んだら本当に凄かった作品なので、
今回『犬夜叉』もラストスパートすごいかも、なんて期待しながら、読んでみた。

でも、無理だ。

桔梗が蘇ったあたりからなんかきな臭かったんだよ。
適当に悪用されて呼び戻されたくらいの話で終わるかと思ったら、
その後ずっと絡んでくる。
まぁ、確かに桔梗がいた方が三角関係が鮮明に出てやりやすいのはわかるんだけど、
かごめはヤキモチからのしょうがない、一緒にいたい、でもヤキモチみたいな
ワンパターン。犬夜叉はどっちも好きって言ってるだけ。
まぁ、その妙な素直さとかは高橋留美子の持ち味だったりするのかな、と
読みながら感心するところもあったんだけど、
それでもなんかそういうのも古き良きって感じで
若干時代遅れ感も感じてしまった。

やっぱり『めぞん一刻』の響子さんみたいな、
昭和の女性みたいなものがこの人の本質なんじゃないかな、と。
だとしたらそういう女性像で突っ走ってくれた方が、際立つ気がする。
今の世の中そんな女性は絶滅危惧種だけれども、
だからこそ、職人芸のようにそういう女性像を描かせたらピカイチ、みたいな。

かごめとかも現代っ子っぽく描こうとしながらも、
色恋の話になると昭和なのよね。
その中途半端な感じがむしろ古臭さを際立たせてしまっているような。
割り切っちゃえば誰も真似できない境地だと思うのだけど。

犬夜叉殺生丸の兄弟間の確執もいまいちはっきりしない形でモヤモヤ。

そもそも悪役の奈落の動機も大したことないし、
そんなんで騙されるか普通、って感じ。

月に1度犬夜叉が人間に戻ってしまう時に限って、妖魔と戦うのも如何なものか・・・。
それも全く必然性がなくて・・・。
お約束と言ってしまえばそれまでだけど、だったら何度も同じ手を使うなって話だよな。

まぁ、そんなことをボヤいてもしょうがないのだけど、
なんでこんな作品が56巻分も続いたのか謎だ。

ちなみに現在アニメ放映中の『境界のRINNE』、
アニメをちらっと見ただけだけど、こっちの方が面白そう。

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でもこれももう28巻とかまで来てるのね。
サンデーも大御所に頼りすぎなんじゃないのかね。
連載の引き延ばしで、話が酷いことにならないことを祈る。

しかし、これだけ書き続けられるってのは偉大なことだよな。
それは本当にすごい。

犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)

犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)

超名作。お金を通じて人間を描けている作品。 青木雄二/ナニワ金融道

マンガというと、低俗な読み物のように思われている節があるが、
物語としては小説や文学に負けず劣らず素晴らしい作品は沢山ある。

妙な自己啓発本や、安っぽいビジネス書なんかよりも
有意義なものは多く、今やそういったマンガの作品が30代ビジネスマンの共通言語になったりもする。
そういえば昔どこかで、週刊少年ジャンプがビジネスマンの共通言語になってるっていうことを
話してる人がいたなぁ。そういう側面ある気がする。

で、『ナニワ金融道』である。
これはまごうことなき名作。
そして青木雄二本人が書いた正真正銘の作品。

ナニワ金融道 1

ナニワ金融道 1


この後の作品って、絵を見ると全部青木雄二の作品に見えるけど、
プロダクションのアシスタントが書いたものだったりするのでちと違う。

で、遅ればせながら一気読みしたのだけど、
きれいごとではないリアルな金融がここにある。
この泥臭さもさることながら、落ちていく人間の描写がものすごくリアル。

どこにつけ込み、どこで踏み外し、どういう行動をとるのか。
理屈ではなくハマっていく。
この人間が描けている感じは下手な文学作品にも負けないものがあるぞ。

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そして↑こんな感じでグッとくる名言もちらほら。
人間、無欲で生きることは無理だと思うんだよねぇ。
というか、人間だもの、後ろ暗い欲望の1つや2つ持っているのが普通だと思うし、
理屈通りにいかないのが面白いところ。

ただ、そういう欲望とどうやって付き合っていくのかっていう
欲望との距離感の取り方が大切なんだろうなぁ。

ちなみに、作者の青木雄二自身のお話も壮絶らしい。

新ナニワ金融道青木雄二物語 1 (SPA COMICS)

新ナニワ金融道青木雄二物語 1 (SPA COMICS)

次はこっち読んでみよう!

ナニワ金融道 1

ナニワ金融道 1

医療ドラマという枠の中に面白い物語の要素が全部詰まってる。読み出したら止まらん。 乃木坂太郎/医龍

乃木坂太郎の『医龍』を一気読みした。
ほんと、一気読み。

嫁が面白いって言ってましたよ。
でもね、まぁ別にいいやくらいに思ってたんだけど。

この前『幽麗塔』を読んで、面白かったもんだから、
同じ作者の作品が気になっちゃったわけだ。

で、読んでみたら想像以上に面白かった!

医龍(1) (ビッグコミックス)

医龍(1) (ビッグコミックス)

医龍 全25巻完結セット (ビッグコミックス)

医龍 全25巻完結セット (ビッグコミックス)

「医者」をテーマにした漫画は数多い。
古くは手塚治虫の『ブラックジャック』をはじめとして、
枚挙にいとまがないほどだと思う。

だからこそ、「医者」ものはある程度想像がついちゃう。
そういう意味ではものすごく競争の激しいテーマなんだと思う。

物語の作り手側の視線で考えると、「医者」はテーマとしては扱いやすい気もする。
そもそも人の命に関わるシーンは不可避なわけで、それ自体が感動を誘いやすい。
でも、それだけじゃなくて、医者=聖職、みたいなイメージと、
その対極にある大学病院内での院内政治みたいなダークサイドと、っていう対比が
とてもわかりやすいドラマになりやすい。

医者もまた一人の人間であり、様々な葛藤を抱えてるんだ!っていう話は
人の命と絡めて苦悩を描きやすいし、聖職のイメージがあるからこそ、
ダークサイドが際立つってのもあるよな。

あと、こと外科に関していうと、職人技の世界だっていうのも面白い。
勉強だけできても臨床の外科医としては大成しない。
手術はあくまでも技術が少なからず要求される世界。
それってとてつもなく面白い制約。
技術、政治、倫理、欲望、色んな側面が絡み合う世界。

白い巨塔』とかはそういうのがうまくミックスされた1つの完成系なんだろう。

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

新潮文庫「白い巨塔 全5巻セット」

新潮文庫「白い巨塔 全5巻セット」

で、『医龍』はと言うと、
天才的な外科医、
改革を目指す助教授、
凡庸な医師、
そしてそのライバルたちが織り成す
一大医学政治ドラマ。

そう、『医龍』は政治ドラマ。
でもそこに天才的な外科医が絡むことで、
難題を解決するカタルシスを読者に与えてる。

研修医の成長ドラマでもあり、
チームワークで難題を解決する、友情、努力、勝利的な要素もある。
過去に囚われていた人間が一歩前に踏み出す物語もある。

要するに、色んな物語の型が医療ドラマという枠組みの中にきれいに収まってる。

物語もだれてない。だから読み始めると一気に読みたくなってしまうんだなぁ。

そして何よりも、無駄に人殺して涙を誘わない。
これ、とても大切なことだし、本当に力がないとできない。

作者はその作品に対して神の位置にいるから、なんでもできる。
登場人物を殺し、涙を誘う、なんてこともできてしまう。
水は低きに流れるから、安易な感動を誘おうと思えばなんでもできる。
医療がテーマならなおさらだ。
でも、それは作者の傲慢だし、力量不足だと思うんだよね。
登場人物の無駄な死は、作者のあざとさが露呈するリスクを常に孕んでる。

でも『医龍』はそういうところもうまいバランスでできてたと思う。
冷静に作者の御都合主義だって言い出したら否定できない部分もなくはないけど、
それを上回る全体の構成だった。

乃木坂太郎、なにかしら原作的なものがないと難しいのかもしれないが、
原作の力を120%引き出す才能があると思われる。

で、言ってることがとてもまとも。

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これは、ビジネスマンの心にも深く突き刺さるのではなかろうか!

とりあえず、最新作も要チェックだわ。

もっともっと、描いて欲しいな。

医龍(1) (ビッグコミックス)

医龍(1) (ビッグコミックス)

医龍 全25巻完結セット (ビッグコミックス)

医龍 全25巻完結セット (ビッグコミックス)

人の心が読める不幸と、ポジティブな妄想の強さ。 森本梢子/高台家の人々

『ごくせん』描いてた森本梢子の新作。

なんか森本梢子って『ごくせん』のイメージが強すぎて
これまで知ってはいたけど、全然読んでなかった。

『ごくせん』もなんかドラマでやってるなー、くらいで
ちゃんと原作読んだことなかったのだが・・・

そんな自分を反省。

森本梢子、めっちゃおもろいわ。

物語は眉目秀麗な人ばかりの謎の名家、高台家の人たちを中心に展開されるのだけど、
この謎の名家の人たちは人の心が読めるという設定。
読みたくなくても、人が何を考えているのかがわかってしまう。
そのせいで人の汚い部分も見てしまって辛いことも・・・。

そういう人が心を許せる人ってどういう人なんだろ?って話なんだけど、
それが冴えないけれど天然で素直な子。
口下手でうまく話せないけど、想像力だけは豊かで、
色々と妄想しては前向きに進んで行く。

妄想とは違うけど、自分で自分を騙す感覚ってすごく重要だと思う。
自分をコントロールするとか、自制するとかって、
要するに自分で自分を騙す、ごまかす感覚が必要。

普通にしてたら面倒臭くてサボりたくなることも、
自分で自分に言い聞かせながら、それに無理やり自分を納得させて習慣化させたりとか
不安なことも、あることないこと言い聞かせて解消したり・・・。

というわけで、主人公の妄想癖とかもあながち遠い話じゃないわけで・・・。

で、そんな設定も面白いのだけど、ちゃんとお話が続いているのが凄いわけ。
群像劇みたいな感じで、その時その時で各キャラにスポットを当てつつ、
今のところいい感じで続いてる。

この感じが続くといいけど、そのうちネタ切れしないか読んでて心配になったりもするのだけど、
4巻までちゃんと面白かったから、この人凄いな、と思った次第。

というわけで、他の作品もちゃんと読んでみたい。

どこから行こうかな〜。

2015年に大ブレイク、歴史マンガの注目株。テーマは元寇!! たかぎ七彦/アンゴルモア

古くは『三国志』から脈々と連なるヒットジャンル。
それが歴史マンガ。

その歴史マンガの系譜に連なる、2015年最大の注目作がこれ。

題材は、なんと元寇
日本史の授業で聞いて以来、久方ぶりにその言葉を目にしましたっていうくらい
お久しぶりの元寇がテーマ。

神風吹いて勝ちました、程度のことしか知らない訳なのだが、
こうやってマンガになったものを読んでいると、
よくもまぁ勝てたものだと思う。

歴史にifはつきものだけど、
普通に考えて、二度の元寇で完全に侵略されていてもおかしくなかったわけで・・・。

もちろん、フィクションを織り交ぜつつ、なのだけど
今までそう注目されていた題材でもないので、とても新鮮。

また、鎌倉時代の無骨な武士像もまた新鮮。
武士というより、武者って感じか。

戦国時代や江戸時代とはまた違う、元祖坂東武者な感じがおもろい。

物語は源平合戦にまつわる伝説も織り交ぜながら展開しており今後が楽しみ。
壇ノ浦で入水した安徳天皇が生き延びていた、とか
義経がモンゴルに渡ったなんていう地方に残る様々な伝説を
ちょいちょい伏線として臭わせたりしている。

歴史物の楽しみって、山田風太郎の明治ものとかその典型なんだけど
史実の隙間をどう楽しむか、だと思ってる。

山田風太郎明治小説全集 全14巻セット

山田風太郎明治小説全集 全14巻セット

警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉 (ちくま文庫)

警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉 (ちくま文庫)

警視庁草紙〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈2〉 (ちくま文庫)

警視庁草紙〈下〉―山田風太郎明治小説全集〈2〉 (ちくま文庫)


そんなこと有り得ない、とも言い切れないよねってところを
さらっと盛り込む、その歴史を遊ぶ感じが適度に入ると
読んでるこちらもニヤッとしてしまう。

早く続きが読みたい。

何かと安っぽい社会正義を振りかざす人が多い今日において、 ダメな人間の物語は一服の清涼剤である。 峰浪りょう/ヒメゴト

飲み屋で女の子が最近読んで面白かった漫画って言ってたので妙に気になった後に、
また別のところでこの作品を進める話を耳にした。

立て続けに聞くのもなんかの縁かと思って買ってみたのだけど、
これが結構、面白い。

特に、何かと安っぽい社会正義を振りかざす人が多い今日において、
ダメな人間の物語は一服の清涼剤である。

出てくるのは変な人ばかり。
主人公の女の子は、女の子であることを素直に受け入れられない女の子。
性同一性障害ってほどではなくて、ボーイッシュなキャラに縛られていて、
女子っぽく振る舞うこと自体に抵抗がある。
要するに自分が社会の中で演じていたキャラに縛られてるんだな。
演じていたはずなのにいつの間にかそのキャラが支配的になっている。

でもこれって多かれ少なかれ日常生活にもあること。
人がプライドに縛られて正しい判断ができないのもこれに似ている要素がある。
わしの面子が許さんのダァ、みたいなのもこれまでのキャラに反するってのに
振り回されているだけってことも。

でも、この主人公は外では男キャラを演じて、家ではこっそり昔の制服着て、女の子に戻る。
スカート履いて女らしい格好するってのが、昔着ていた制服しかないんだな。
で、家で一人で制服に着替えて自慰に耽る。
その倒錯性にも自覚的で、ダメだと思ってもやってしまう。

もう一人の主要キャラも美男子なのに女装癖。
他にも清楚なお嬢様風なのに体売って稼いでる女。
みんな、どっか変。
そして、その変であることを自覚していて、
ダメだと思ってるのにまたやってしまう。

このダメだと思ってるのにまたやってしまう、というのがこの作品の本質であり、
それって人類普遍のテーマなんだよなぁ。

植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」 (小学館文庫)

植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」 (小学館文庫)


まぁ、人間だもの、目の前の欲望に躓くこともあるさ。
むしろその方が人間らしいじゃないか。

そういえばこの本読んで思い出したのが、『ぼくらのへんたい』

ぼくらのへんたい(1) (リュウコミックス)

ぼくらのへんたい(1) (リュウコミックス)

最初の方だけ読んだけど、これもヘンタイたちの物語。
最初の方は凄い才能感じたけどその後どうなっているんだろうか。
すげー気になってきた。また買っちゃうんだろうな・・・。