いくえみ綾の代表作。珍しく長編。
長編といっても、短編が連なり、長編になっている構造。
物語の中心には4人の男女がいて、このグループの中の男子が事故で死んじゃう。
その事故の記憶とか、心に傷を負った人たち、その周囲にいた人たちが、織りなす群像劇。
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登場人物は意外と多くて、Aさんの友達Bさんの話になったり、
あるお話の場面を別キャラクターの視点で見ているような話になったり、
同じ世界を違うキャラクターの視点を通じて描くことで立体的な話にしてる。
そこら辺の構成とかは素直に才能あるなぁと思うんだけど、
正直読んでる途中でこいつ誰だっけ?ってなる。
基本的には心のどっかに傷を持ってる人たちの再生の物語。
なのでまぁ概ね良い話だなーって感じなのだけど、
そういうのが13巻も続くと若干飽きるのも確か。
そもそも再生が恋愛によってなされるというのが、こうも続くと段々疑問符が出てくる。
人は恋愛のみに生きるにあらず、なはずなのだけど、作品内ではみんな、
恋愛からは距離を置こうとしながらも結局恋愛に救われるという人が多い。
その現実離れした感じはこの作品に対する好みを分けそう。
恋愛によって再生する、というパターンこそが、この作品が少女漫画たる所以でもあり、
同時に少女漫画の限界のような気もした。
別に、本当はそんなに全部が全部、解決策が恋愛じゃなくたって良いはずなんだよな。
で、おそらくいくえみ綾なら、もっと恋愛に絡めない良いエピソードだって、
描ける人なんだと思う。
それでも、話を基本的に恋愛という枠組みに押し込めるのは、
少女漫画誌に連載された少女漫画であるがゆえ、なのだろう。
そんなの当たり前じゃん、少女漫画なんだからと思ったりもするのだけど、
それこそが少女漫画の足枷となっているというか、少女漫画の
多様性を奪う原因になっているような気がしてならない。
この人の魅力は、人の身も蓋もないところをさらっと描くところ。
本作においても男女ともに、興味ない相手への態度とか、
好きでもない相手に好かれた時の面倒くささとか、
でも相手が違うと全く態度が変わるところとか、
他人、友人の恋愛を見てイラっとするところとか、その辺の描写がリアルで面白い。
この人の観察力、描写力で描かれるエッセイ漫画とかも読んでみたいし、
こういう短編の群像劇も、そんなに恋愛に絡めなくても良い形で描いたもの読んでみたい。
吉田秋生の『海街Diary』みたいなのとか。
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まぁでも、いくえみ綾は才能ある、これは間違いないから
とりあえず一通り読むべきだろうなぁ、とは思った。
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