黄金のトランクを持って現れた謎の人物は翌朝消えていた。
謎が謎を呼ぶ黄金のトランクは、西日本新聞に連載されたという変わり種の作品。
漫画というよりは挿絵とストーリー。

- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 手塚プロダクション
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: Kindle版
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新聞連載だけあって、物語としてはかなりボリューミー。
まともに漫画にしたら、かなりの巻数になるきがする。
それは裏を返すとそれだけちょいとダラダラしているという冗長な面もあるのだけど、
物語部分がグダグダで、訳のわからないまま進む初期作品群に比べれば随分マシな気もする。
黄金を自由に生み出せる異星人が地球を乗っ取るために世界をインフレにするっていうプロットは、
今尚有効な気がする。
金融を混乱させることが世界を乱す有効な方法ってのは変わっていないと思うから。
そして結局人間は皆金が大好き。
金をばらまきゃ便宜も図られる、そんな世界もこの作品発表当初から大筋変わってない。
しかし、本当に手塚治虫というのは詰め込みすぎな人だよな。
当時はこれが良しとされたのだろうか?
1つの作品にとにかく色々な要素が盛り込まれまくって、
物語から逸れていく。
いろんな要素が中途半端に終わる。
どちらかというと、もう書き散らしている印象でしかない。
でも実際書き散らかしてる風なことを本人も言っているので、仕方ないっちゃ仕方ないんだよね。
それでも書き続けたからこその手塚治虫なんだろうなぁ。
そう考えると、とにかく書きまくること自体が偉大に思えても来る。
今の時代、作品を公表する場はいくらでもあるんだから、
漫画家として生きていくなら、手塚治虫以上の作品数をとりあえず描いてみれば?
芽が出てなくても、描かなきゃ始まらない、とも言えるよね、と思う今日この頃。

- 作者: 手塚治虫
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