スター・ウォーズ、実は全然はまらなかった。
何度かブームが来る度に、映画を見直してみようとしてみた。
全世界であれだけ人気のエンターテインメント作品を全く面白いと思えない自分は何か大事なものを見落としてるのではないか?
小難しい作品ばかり評価するようなサブカルくそ野郎になっているのではないか、と自問自答しながら、レンタルした映画を観てみる。
しかし、やはりつまらないのだ。
僕にはどうしようもなくつまらない。
冗長な戦闘シーン、ブーンブーン、ピュンっピュンっ、どかーん。
追いかけたり追いかけられたりのチェイスがなぜあんなにずっと続くのか??ビュンビューン。
物語描写に割かれる時間が圧倒的に少なくてよく意味わからん。
あ、またスリリングな追いかけっこが始まったぞ、、、zzz
で、寝落ちしてしまったりする。
だからもう自分には、スター・ウォーズは楽しめないんだって諦めてた。
しかし、だ。
出会いは突然やってくる。
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講談社文庫から小説が出ているではないですか。
映画を見ている限り、小説になりそうもない薄っぺらさなのだけど、
本当は重厚な物語が裏にあるのかもしれない、そう思った私はおもむろに読み始めたのでした。
そうしたら、これがすこぶる面白い!!
映画とは比べ物にならないほどの豊かな心理描写。
あぁ、そういう思いで行動していたのか、ということが丁寧に語られる。
アナキンがオビワンとパドメの関係を疑っていたなんて映画から読み取れないでしょ???
少なくともエピソード1〜3、アナキンがダークサイドに落ちていく物語は、完全なる心理劇なのだ。
シスの暗黒卿によって完璧に仕組まれた心理戦。
手の平で踊らされるアナキン。
少年の憧憬がそのまま恋愛になり、理解者かつ承認欲求を満たしてくれる存在であるパドメに執着。
禁じられた恋をも認め、見守ってくれる立ち位置を巧妙に演出するパルパティーン。
肥大した承認欲求は不当な扱いを受けているという被害妄想に繋がり、
師であるオビ・ワン・ケノービへの不信と不満を募らせる。
まさに堕ちていく過程の心理が克明に記されている文学作品としての趣を感じる作品になっていて、映画の100倍面白い。
これを読んで、映画を見たら、寝落ちせずに見続けることができたが、
映画がやはりあまりにも薄っぺらいことが明らかにもなった。
しかし、本当に承認欲求とは恐ろしいものだよ。
誰かに認められたい、誰かに評価されたい、それって自分の喜びを他者に委ねているってことなんだよね。
自分の喜び、充足感を他人に委ねてしまえばしまうほど、自分の人生を生きられなくなる。
認められていないという不満ばかりが先に立つ。
他人など所詮他人でしかなく、自分も含め、人は皆、大切にできる人の数なんてたかが知れている。
その人にとって自分が家族や恋人、親友といったレベルで重要な位置付けでないならば、
その人から喜びを得ようとするのは正直不毛だし、不幸しか生まない。
皆、他人を満足させるために生きている訳ではないからね。
お互い勝手に楽しく生きよう、を人付き合いの基本にした方が楽しいよね。
アナキンもそうやって生きられたら、ジェダイもシスもほっといて、パドメとどっかでのんびり暮らせたんだと思うんだよね。
あと、アナキンて母はいるけど父はいないんだよね。
性交を伴わない受胎なのよ、まぁ明らかにキリスト的な生まれ方してる。
でもその救世主が俗世にまみれて、ひどく人間的にダークサイドに堕ちていく。
そして子を成し、物語は父親殺しのオイディプス的な物語へ繋がっていく訳だ。
小説はエピソード4以降よりも1〜3が秀逸な感じ。
スター・ウォーズファンはもちろんだけど、いまいちこれまで面白いと思えなかった人たちにこそ読んでほしい作品だったな。
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