電影少女がドラマ化されるなどなんだか桂正和ブームが来ている。
世の中的に来ていなくても俺の中では来ている。
30から40代男子にとって桂正和は切っても切れない存在なのだよ。
男はみんな、心のどこかで桂正和に感謝しながら生きている。
そんな桂正和は最近なにかいてるんだろう、そういえばあんまり読んでないぞと思って
手に取ったのがこの作品。
ZETMAN コミック 1-20巻セット (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 桂正和
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: コミック
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相変わらず可愛い女の子は出てくるけど、ちょっとシリアスだぞ。
人間に紛れて暮らすEVOLと呼ばれる人工生命、でもこの人たち
大人しく紛れて暮らす人もいれば、暴走して人を襲っちゃう奴らもいる。
そんなEVOLの秘密とか、EVOLとの戦いとかを描いた物語なのだけど、
主人公はいつだって無自覚に主人公であり、ヒーローだ。
でもこの物語で注目すべきは主人公ではなく完全に脇役の高雅くん。
ヒーローに憧れ、ヒーローになれるスーツを開発して、ヒーローになろうとする。
凡庸な金持ちのボンボンの純粋な夢としてのヒーロー。
正義であることを望むが、正義とは何なのかを常に突きつけられていく。
そう、正義とはとても難しい。
一昔前に流行ったマイケル・サンデルの世界。
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケルサンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
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多数の命を救うためなら、少数の犠牲はやむを得ない?
目の前の人の命を見捨てることでより多くの命が救える状況では、
目の前の人を見捨てることが正義なのか?
こういう正義とは何か、青臭い正義では誰も救えないんじゃないの、っていう
正義とは何かゲームをひたすら突きつけられ、悲惨な現実を目の当たりにしていく。
現在は第一部が完結した状態。
物語としても続編が待たれる状況なのだが、
作家とは意識するしないに関係なく、自らの作家性からは逃れられないのだな、とこの作品を読んで強く感じた。
ヒーローへの憧れ、ヒーローになろうとする、まさにこれが桂正和が根底に抱えるテーマ。
ウイングマンもそうだったでしょ。ヒーローへの憧れ、妄想が現実化してウィングマンになる。
ウイングマン 文庫版 コミック 全7巻完結セット (集英社文庫―コミック版)
- 作者: 桂正和
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: 文庫
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- 作者: 桂正和
- 出版社/メーカー: 集英社
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生まれながらのヒーローである主人公とヒーローに憧れヒーローになろうとする二人の対比。
天才と秀才、才能と努力の葛藤。
そしてヒーロになったらなったでヒーローであることへの苦悩。
そう、ヒーローはヒーローであることの苦悩から逃れられない。
それは仮面ライダー然り、スーパーマン然り、古来のヒーローが直面し続けているテーマなのだ。
いつからなのだろう、ヒーローという異形の存在が自らの異端性を気に留めなくなったのは。
まぁ、底抜けに明るいヒーロー像を全否定するつもりはないけれど、あまりにも白痴的なヒーローが溢れているような気もするな。
というわけで、たまには悩み多きヒーローの物語に触れてみるのも良いんじゃないかしら。
悩み多すぎて、続きが書けるかどうかが一番気がかりではあるのだけど、
この悩めるヒーローと正義の物語をぜひ描き切ってほしいな。
ZETMAN コミック 1-20巻セット (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 桂正和
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
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