Book Select 本を選び、本に選ばれる

読んだ本にまつわる話を書き綴っていくことにしました。マンガが大半を占めていますが小説も好き。マンガはコミックで読む派。本は買って読む派なので常にお金と収納が足りません。例年1000冊以上コミック読んでます。ちなみに当ブログのアフィリエイト収入は昔は1000円くらいいった時もあったけど、今では月200円くらいです(笑)みんなあんまりマンガは買わないんだなぁ。。収入があった場合はすべて本の購入に充てられます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

何やってもあり、みたいになっちゃうと何やっても面白くなくなる。 筒井康隆/脱走と追跡のサンバ

『筒井康隆コレクション』の2巻に収録されていて読んだのだけど、 「霊長類、南へ」とはまた違った雰囲気。荒唐無稽でナンセンスなSFって感じ。 でもそう書くと、「霊長類、南へ」も荒唐無稽でナンセンスなSFのはずで、 結局同じじゃないかとなるのだけ…

面白いコンテンツは、30年近く経っても面白いってこと。 荒川弘、田中芳樹/アルスラーン戦記

超一級のエンタテイメントSF&ファンタジー作家,田中芳樹。 『銀河英雄伝説』と並ぶ彼の代表作が『アルスラーン戦記』なのだけど、 何とこちら、まだ完結していなかったというのが驚き。構想では全16巻、で、今は14巻まで刊行されているみたい。でも最新1…

愚かで滑稽な世界の終わりの物語。 筒井康隆/霊長類、南へ

現在刊行中の『筒井康隆コレクション』の2巻の表題作。 いわゆる「世界の終わり」がテーマで、 筒井康隆自身、このテーマには強い関心があった模様。 作家は一度このテーマで書いてみるべきだとすら言っていた。筒井康隆コレクションII 霊長類 南へ作者: 筒…

もはや教養なんじゃないかと思われる傑作コンテンツもアニメ放映は20年前と云うのが驚愕。 貞本義行/新世紀エヴァンゲリオン

アニメの放映は95年~96年、まさに一世を風靡した傑作のコミカライズがついに完結。 舞台となっている時代が2015年という事実に時の流れを感じる。あの時感じた20年後の未来に、実は今生きている。 なんとかセカンド・インパクトは起こらずに済んでいるし、 …

下世話で猥雑な物語の中に、生命力を感じる。 平山夢明/デブを捨てに

タイトルと表紙が気になって買ってしまった。 で、短編集で4作品ほど収録されているけれど、 表題作は本当にデブを捨てに行く話だった!!!これが初めて読んだ作品だけど、そこそこ話題の作家さんっぽい。 まぁ、メジャーではないと思うけど・・・。久しぶ…

身も蓋もない言葉こそ真理。この人のエッセイはもっと読みたい。 本谷有希子/かみにえともじ

マンガ雑誌のモーニングに連載されていたコラムを1冊にまとめた本。 イラストを榎本俊二が担当っていう不思議な魅力の組み合わせ。連載時に何度か読んだことがあって、面白かった記憶があったので、 単行本化された際に買っといた。 本谷有希子は才能あふれ…

表紙の印象より硬派。丁寧にエピソードを語る人だから、今後の作品も楽しみ。 相田裕/GUNSLINGER GIRL

ロリ系の萌え絵っぽい表紙で敬遠してたけど、 意外と内容は固いらしいと聞いて読んでみた。GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガーガール) コミック 全15巻完結セット (電撃コミックス)作者: 相田裕出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2012/12/29メディア: …

へぇ~、そうなんだーっていう小ネタをひたすら楽しむ 石井良介/将軍の生活

将軍の生活、と言われるとなんか興味をかき立てられる。 一体どんな生活だったんだろう?? 歴史小説や時代劇でも、彼らの日常は描かれない訳で・・・。本書は将軍の生活に関する話の他にも、 皇室と公卿の話や、当時の村という感覚が、 ローマ法的な考え方…

世代を超えて愛される作品になれるのか、むしろ連載終了後の展開が気になる。 岸本斉史/NARUTO

昨年、ついに完結したジャンプの大ヒット忍者マンガ。 全部で72巻。 一気に読もうとするとそれなりにしんどいボリューム。 ドラゴンボールが42巻だったことを考えると、長期連載だったことがよくわかる。NARUTO-ナルト- コミック 全72巻完結セット (ジャンプ…

雑多な知識をエンタメ小説に昇華させる、巧みなトリビア小説家。 中島らも/ガダラの豚

中島らもは、なんとなく読まずに来た。 だから長編小説はこれが初めて。新興宗教や奇跡、超能力といった非科学的なものの化けの皮をはぎつつ、 アフリカの呪術といった非科学的なものの力に襲われる、という構図は良くできている。読後の感想としては、この…

40歳、独身女性、不倫、これが今の女性のファンタジーなのかしらね 西炯子/姉の結婚

『娚の一生』が少々売れすぎた感のある西炯子。 この人はなんかちょっとスケベでなかなか趣き深い。作中ではそんなにふざけないけど、 巻末の4コマとかは自分の作品をうまく弄ってて凄くいい感じ。 作品をネタにした下ネタとか自分で描いちゃう人ってあんま…

電子書籍のセルフパブリッシングを実行した自身の体験に基づいた作品! 鈴木みそ/ナナのリテラシー

昨年来、出版業界で話題になった作家であり、作品。 業界の人、必読の書なのだが、いかんせんターゲットは狭いのかもしれない。2巻でゲーム業界を取り上げており、業界を変えながら展開していくのかと期待したのだけど、 まさかの3巻で出版の話に戻ってきて…

夭折の天才棋士の生涯。生きることとか才能とかを考えさせられる。 大崎善生/聖の青春

29歳でこの世を去った夭折の天才棋士、村山聖の生涯を描く、 ノンフィクション小説。人に勧められて読んでみたのだけど、とても良かった。聖の青春 (講談社文庫)posted with amazlet at 15.04.01大崎 善生 講談社 売り上げランキング: 5,330Amazon.co.jpで詳…

アスペルガーの男が、専業主夫をやる子育てマンガ、意外とおもろい 逢坂みえこ/プロチチ

アスペルガーの男性(無職)がプロの父親として専業主夫する話。 妻は出版社勤めでまともな時間には帰ってこない人。最初は主人公がアスペルガーである必要あるんかな、と思ったけれど、 この設定の方が育児のままならなさとか、社会と切り離された感じとか…

酒飲みは読んどいて損は無いのかもしれないアル中小説。 中島らも/今夜、すべてのバーで

サブカル好きの人達は一通り通過する作家、それが中島らものイメージ。 で、この年まであまり素直に読む気になれなくて、避けて通ってた。連日酒を飲む自分に、友人が勧めてくれたのがきっかけ。 まぁ、とにかくオススメだから読め、と。 そしたら作者自身の…

民間伝承って面白い。民話ベースの創作もの、もっと描いて欲しいな。 田中相/千年万年りんごの子

民間伝承って面白い。 民話で語り継がれるタブー、禁忌は、 何かの暗喩だったりするんだろう。そして時にゾッとするくらい残酷だったり、 人の業を思わせるお話も多い。で、このマンガは、東北のりんご農家を舞台にした現代の民話。 そこで、食べてはいけな…

魅力的なキャラクターの宝庫だし、いわゆる王道バトルものとは一線を画した名作。 沙村広明/無限の住人

両親を殺され復讐を誓う娘「凛」と 100人斬りの異名を持つ元侍「万次」を中心に描かれる群像劇。万次は切られても傷口がすぐに治るという不死の力を身につけているというチート設定。 でも、不老不死だけど、痛みは感じるってのは大事。 ちゃんと切られりゃ…

自分ではどうしようもない閉塞感が文章になったような、不条理な夢。アンナ・カヴァン/アサイラム・ピース

既にこの本が発売されてから2年ほど経っているけれど、 ちょうど本書の刊行くらいから、アンナ・カヴァンが再燃している感じ。不安定な精神状態からヘロインを常用するようになりながら、 常に書き続けた作家。書くことで救われるって言うタイプの作家。 そ…

評判だけど、つまらなかった。大今良時/聾の形

もともと読みきりの作品で掲載されたときにすごく話題になっていた記憶がある。 その後連載作品になり、このマンガがすごい!2015オトコ編で第1位に。元々2巻くらいまで読んでいて、微妙だなぁと思ってとまっていたのだけど、 すごく良かったという人がいた…

豊年だ! と思わず叫びたくなる豊かな小説。 志賀直哉/暗夜行路

志賀直哉、名前くらいは聞いたことがあるであろう文豪。 文学史的には白樺派を代表する作家。暗夜行路 (新潮文庫)posted with amazlet at 15.02.05志賀 直哉 新潮社 売り上げランキング: 55,258Amazon.co.jpで詳細を見る でも近代文学史って良くわからないん…

若干の不安と共に手に取ったけど、清順は清順だった。 四方田犬彦 編/鈴木清順 エッセイ・コレクション

映画監督、鈴木清順のエッセイ集。 最初、書店で見た時、鈴木清順とエッセイと言う組み合わせ自体に違和感を感じた。 一体どんなことを語っているのか、変に日常のことを書かれてもそれはそれで幻滅する。 特に彼の映画にハマったことのある人ならば尚更、 …

80~90年代少女マンガの傑作。過去を受け入れ未来へ向かって生きようとする物語。 日渡早紀/ぼくの地球を守って

男性でも知っている少女マンガの名作。 30代男女は割と通ってきた作品なのだろうか??自分も名前だけは知っていたけれど、特に読まずにここまで来てしまった。 でもって最近マンガ好きなおっさん達が、お勧めの少女マンガで こぞってこの作品を推していたの…

一人の男性が自分の人生を生きるまでの物語。 西加奈子/サラバ!

直木賞受賞で盛り上がっている話題の小説。 西加奈子は書店員とかの評判もよく、 今回の受賞を喜んでいる業界人も多いんじゃないかという印象。 サラバ! 上posted with amazlet at 15.03.12西 加奈子 小学館 売り上げランキング: 302Amazon.co.jpで詳細を見…

脱原発×霊能バトル。とりあえず一生懸命に生きたい。 高橋ツトム/ヒトヒトリフタリ

脱原発マンガなのだが、終盤は霊能バトルマンガに。 これも何かの圧力なのだろうかと思わずにはいられない。ヒトヒトリフタリ 1 (ヤングジャンプコミックス)作者: 高橋ツトム出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/02/17メディア: コミック購入: 2人 クリック…

SFに馴染みがないから買ってみたのだけど、道のりは遠そうだ。 若林正/乱視読者のSF講義

本は好きでずっと読んできたけれど、 SFも、ミステリーも、あまり通過しないまま来てしまったことが 何か損しているような気がして生きている。全く読んだことがない訳ではなく、 それこそ本書で紹介されるようなコアなSFの作品たちは、 国書刊行会の未…

ついに完結した骨太なダークファンタジー、読むなら一気読みで! 八木教広/CLAYMORE クレイモア

完結したので、4年ぶりくらいに一気読みしてみた。 登場人物のクレイモア達の顔がみんな似ていること、 刊行ペースが遅かったこと、 そして物語の中で時間と場所が飛んだりすることもあって、 半年ぶりに次の巻が出て読んでも、さて、この人誰だっけ?となり…

小さな子供がいる人に勧めたいエッセイ。 長島有里枝/背中の記憶

自分の見ている世界を、言葉で表現することは難しいことだが、 そのハードルをいとも簡単に越えてくる文才に少し驚く。 彼女の言葉は、情景が浮かぶ言葉。 そう考えると彼女が写真家であること、 世界をビジュアルで切り取る才能の持ち主だったことを思い出…

日本語の醍醐味と言うシリーズ名に相応しい傑作。石川桂郎/剃刀日記

この本に出会ったのは、本好きなら知っているあの千駄木の有名書店、往来堂書店。 人に連れられ初めて行った時、こんな本があるのかと衝撃を受けた品揃え。 で、そのときの戦利品の一つが、この本。 曰く、シリーズ日本語の醍醐味。 何とも素晴らしいシリー…

人は情けないくらい煩悩にまみれて生きている。 朔 ユキ蔵/お慕い申し上げます

お寺の話なのだが、主人公は非常に俗っぽく煩悩にまみれている。 そこに主人公の妻候補としてお見合いに来る女性、節子。節子もまた煩悩にまみれている。主人公は妻帯するつもりはないと節子との見合い話を断るけれど、煩悩にまみれている。 お慕い申し上げ…